瓦礫(がれき)の正しい処分方法は?処分後の流れや費用の目安も解説

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瓦礫(がれき)とは 、一般的に「瓦や小石、破壊された建造物の破片など」のことです。ただし、産業廃棄物における「がれき類」は、建設現場などから排出されるコンクリート片やレンガ片のことを指します。産業廃棄物に分類される瓦礫は、法律に従って適切に処理しなければなりません。

本記事では、瓦礫の正しい処分やリサイクル方法、処分費用などについて解説していきます。事業で排出される瓦礫の処理について知りたい方はもちろん、家庭で出たコンクリートゴミを処理したい方も参考にしてみてください。

がれき類の定義

「がれき類」という呼び方は通称であり、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物(施行令第2条の9)」と定義されています。

ただし、条文どおりの名称では長すぎるため、環境省の通知や許可証ではひらがなで「がれき類」と表記するのが一般的です。またコンクリートがらやコンがらと呼ばれることもあります。

がれき類と混同しやすい産業廃棄物に「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」があります。ガラス・コンクリート・陶磁器くずは、コンクリート製品の製造過程などで生じる廃棄物のことです。一般的に「コンクリートくず」や「ガラ陶」と呼ばれ、法律上異なる分類です。

まぎらわしいかもしれませんが、産業廃棄物のがれき類はあくまで建設工事や解体工事の現場で排出されたコンクリートを含む廃棄物のことです。建設工事や解体工事以外の工場などで排出されるコンクリートを含む廃棄物は「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」=「コンクリートくず」に分類されます。

なお、自然災害などで発生する瓦礫 は、産業廃棄物には該当しません。家庭ゴミと同じ一般廃棄物として扱われ、分別や仮置き場への撤去、最終処分の責任は地方公共団体が担います。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(入手日付2023-09-27).


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産業廃棄物における瓦礫3つの種類

産業廃棄物のがれき類は「コンクリート破片」「アスファルト・コンクリート破片」「レンガ破片」の3つに大別できます。それぞれを詳しく解説しましょう。

コンクリート破片

がれき類の代表的なものが、家屋やビルなどの新築・改築・除去に伴って排出されるコンクリート破片です。コンクリートはセメント・水・骨材・混和材料から構成され、再利用が可能な廃棄物の代表的なものとされています。

アスファルト・コンクリート破片

アスファルト・コンクリートとは、アスファルトと骨材、フィラー(混合物の調整剤)を混ぜた建築材料の一種です。またアスファルト合材やアスファルト混合物とも呼ばれ、主に道路舗装の最上部に施工されます。

道路は人為的に土地に固定する工作物であるため、道路の補修工事で出たアスファルト・コンクリートは産業廃棄物のがれき類に分類されます。

レンガ破片

家屋やビルなどの新築・改築・除去に伴って排出されるレンガは、がれき類の定義である「コンクリートの破片その他これに類する不要物」の「その他これに類する不要物」に当たります。そのため建設工事で排出したレンガはがれき類として扱うことが必要です。

会社(営業目的)で出た瓦礫の処分方法

がれき類に限らず事業活動で排出される廃棄物は、原則として事業者自身の責任において適正に処理しなければなりません。

なおがれき類を排出する建設工事の場合、発生する廃棄物の処理責任は元請けにあり、排出事業者は元請け業者です。

ただし、排出事業者はがれき類を含む廃棄物の処理を許可業者に委託できます。ここでは業者に委託する場合と自社で処理する場合のそれぞれの方法を解説しましょう。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-09-27).

「産業廃棄物処分業許可証」を取得している回収業者に依頼する

がれき類は一度に大量に発生しやすく、体積や質量が大きいことから、他の産業廃棄物よりも処理が難しいといわれています。そのため「産業廃棄物処分業許可証」を取得している業者に処理を依頼するのが一般的です。

処理を業者に委託する際には、事前に処理業者と書面で契約を締結しなければなりません。また排出事業者は委託契約を交わした後もマニフェストを交付して、委託した廃棄物が適正に処理されたことを、最後まで確認する義務があります。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-09-27).

自社で処分する

産業廃棄物を自社の施設で処理するには、許可を得た上で廃棄物処理法第15条(施行令第7条)に適合する処理施設を設置しなければなりません。

また排出事業者が自ら専用の処理場へ産業廃棄物を運搬して処分することも可能です。自社運搬する際は「産業廃棄物収集運搬業」の許可証は必要ありません。

ただし自ら処理場に持ち込むには、廃棄物処理法第12条で定める産業廃棄物の収集、運搬、処分に関する基準に従わなければなりません。基準に従っていない場合、行政から改善命令を受けることもあるため注意が必要です。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-09-27).

家庭で出た瓦礫の処分方法

家庭から出たコンクリートやレンガはどのように処分するとよいのでしょうか。ここからは回収業者に処分を依頼する方法と、お住まいの自治体に処分を依頼する方法をご紹介します。

地元の回収業者へ依頼する

現状ではほとんどの自治体で瓦礫の処分を行っていません。瓦礫を引き取ってもらえない自治体にお住まいなら、地元の回収業者などに依頼して処分してもらう方法が一般的です。

回収業者に依頼すると、料金はかかるものの自宅まで回収に来てくれるため、手間なく処分できます。地域や回収業者によって料金プランは異なりますが、1立方メートル当たり9,000〜15,000円ほどの料金が相場です。

安く処理したいなら、複数の回収業者に相見積もりを出してもらい、比較検討して依頼するとよいでしょう。

地方自治体に依頼する

数は少ないものの、レンガやブロックを粗大ゴミとして回収している自治体もあります。

例えば神奈川県相模原市では、コンクリートブロックを1回につき6個まで、直接搬入が可能です。また埼玉県さいたま市でも、直接持込みの場合は1日につき10個まで受け付けてもらえます。

自治体によっては回収してもらえる可能性もあるため、お住まいの市区町村の公式サイトを調べてみましょう。

※参考:神奈川県相模原市「粗大ごみ一覧」(入手日付2023-09-27).

※参考:埼玉県さいたま市「家庭ごみの出し方」 (入手日付2023-09-27).

瓦礫の処分後4つのリサイクル方法を紹介

がれき類はリサイクル可能な産業廃棄物で、環境省によると実に96.4%のがれき類が回収後に再生利用されています。回収されたがれき類はどのように再生利用されているのでしょうか。ここでは4つのリサイクル方法をご紹介します。

※参考:環境省「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」(入手日付2023-09-28).

再生路盤材

路盤材とは、アスファルト混合物で舗装された道路の基盤を造る材料のことです。路盤材には道路を走る自動車の重さに対して、変形しにくく支える力の強い材料が用いられます。

がれき類から取り出したコンクリートは、粉砕処理されて直径4センチ程度の粒度に加工され、路盤の基礎材料として再利用されます。

再生砕石

砕石とは砕いた石のことで、通常は採石場などで取れる大きな岩石を粉砕機(クラッシャー)で人工的に砕いて作ります。砕石は建築物の基礎に使用されるだけでなく、駐車場の地面にも敷き詰める建材としても人気です。

がれき類から鉄分を取り除いた上で細かく砕いたコンクリート片は、クラッシャーで粉砕する手間がなく、そのまま再生砕石として利用できます。再生砕石は、他の砕石と比べてコストが安いのが一般的です。

アスファルト合材

がれき類から取り出して粒度を整えたコンクリートは、アスファルト合材にも再生利用されています。アスファルト合材とは舗装用アスファルトの原料で、砕石や砂、石粉などをアスファルトに決まった割合で配合した混合材料のことです。

がれき類から取り出したコンクリートは、アスファルト合材に混ぜる砕石の代わりに使用されることもあります。

再生骨材

骨材とはコンクリートやモルタルに混ぜる砂利や砂などの総称です。骨材はコンクリートの強度を高めたり、コストを節約したりする目的で用いられます。

がれき類から取り出したコンクリートは、破砕・磨砕・選別などの処理をしてからコンクリートの骨材として再利用されています。

コンクリートやモルタルを製造する企業が再生骨材を積極的に使えばコスト削減に役立つだけでなく、産業廃棄物が削減でき持続可能な開発にもつながるでしょう。

瓦礫処分の費用目安

がれき類の処理を収集運搬業者や処分業者に依頼する場合には、処理費用の支払いが必要です。がれき類に混ざっている不純物の量や種類によって、処理費用は異なります。業者によっても料金は異なりますが、立方メートル当たり3,000〜15,000円がおおよその目安です。詳細については委託する業者に確認するようにしてください。

瓦礫処理に関するよくある質問

ここからは瓦礫処理に関するよくある質問とその回答について、ご紹介します。

ガラス陶磁器くずとがれき類の違いは ?

ガラス陶磁器くずは、産業廃棄物処理法の分類では「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当します。(施行例第2条の7)一方でがれき類は「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」です。(施行令第2条の9)

※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」(入手日付2023-09-27).

コンクリートがらの処分は個人でできる ?

家庭で排出したコンクリートがらは、産業廃棄物に該当しません。一般廃棄物として個人でも処分可能ですが、多くの自治体ではコンクリートがらを受け付けていません。個人で処分する場合には、一般廃棄物の処理許可を得ている回収業者に依頼するのがおすすめです。

がれき類の石の処分方法は?

石が建設現場などで排出されたもので、産業廃棄物のがれき類に該当する場合には、産業廃棄物処理許可を得ている業者(収集運搬業者・処分業者)に処理を委託するのが一般的です。自社で処理することもできますが、その場合は廃棄物処理法に従って処理する必要があります。

石を捨てたら不法投棄になる?

石や土を勝手に捨てることは禁止されており、捨てた場合は不法投棄扱いとなります。廃棄物処理法第16条に規定されている「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」に違反するためです。

不法投棄した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰金、または併科となる可能性があるため、法に従って処理しなければなりません。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-09-28).

他人の土地にゴミを捨てたら違法?

他人の土地にゴミを捨てることは不法投棄に当たります。不法投棄は犯罪行為であり、不法投棄を行ったものは前述したように、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰金、または併科が科されます。

※参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-09-28).

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