廃棄物処理施設技術管理者とは?役割や必要な資格を解説

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一般廃棄物または産業廃棄物の処理施設の設置者は、廃棄物処理施設技術管理者と呼ばれる人材を配置することが義務付けられています。廃棄物処理施設技術管理者となるには明確な基準が定められていますが、基準を満たしていなくても講習を受け試験に合格すると、資格を得ることが可能です。

本記事では、廃棄物処理施設技術管理者についての概要や必要な資格、設置義務がある施設などをご紹介します。併せて産業廃棄物関連の資格や、廃棄物処理施設技術管理者に関するよくある質問とその回答もセットでご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

廃棄物処理施設技術管理者とは?どのような管理者なのか解説

廃棄物処理施設技術管理者とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法)第二十一条の規定に基づき、一般廃棄物処理施設または産業廃棄物処理施設に設置が義務付けられている国家資格です。

廃棄物処理施設技術管理者は、廃棄物の分類から処理、最終処分に至るまでの各段階を管理し、廃棄物を最適な手順で処分するという技術的任務を担います。廃棄物処理施設技術管理者の具体的な役割は以下のとおりです。

  • 一般産業廃棄物・産業廃棄物処理施設の維持管理を行う
  • 技術上の基準に準拠した運用を確保するために、従事する職員を監督する
  • 施設の運転及び運転時の監視・監督を行う
  • 定期的な施設点検と必要な措置を実施する
  • 設置者への改善提案とフィードバックを提供する

廃棄物処理施設技術管理者は、施設の保全・運営に関して上記のようにさまざまな業務を担当します。


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廃棄物処理施設技術管理者に必要な資格

廃棄物処理施設技術管理者は、廃棄物処理法第二十一条第三項において「環境省令で定める資格を有する者でなければならない」と定められています。具体的な資格や、求められる実務経験は以下のとおりです。

学歴や実務経験による資格

  • 化学部門・上下水道部門・衛生工学部門の技術士
  • 上記以外の技術士の実務経験が1年以上ある
  • 環境衛生指導員の実務経験が2年以上ある
  • 大学で理学・薬学・工学・農学・衛生工学・化学工学のいずれかの科目を修めて卒業し、実務経験が2年以上ある
  • 大学で上記以外の科目を修めて卒業し、実務経験が3年以上ある
  • 短大・高専で理学・薬学・工学・農学・衛生工学・化学工学のいずれかの科目を修めて卒業し、実務経験が4年以上ある
  • 短大・高専で上記以外の科目を修めて卒業し、実務経験が5年以上ある
  • 高校で土木・化学またはこれらに相当する科目を修めて卒業し実務経験が6年以上ある
  • 高校で理学・工学・農学またはこれらに相当する科目を修めて卒業し実務経験が7年以上ある
  • いずれにも該当しない場合は実務経験が10年以上ある

専門の講習を受講することによる資格

学歴や実務経験による資格を持たない場合は、一般財団法人日本環境衛生センターによる「廃棄物処理施設技術管理者講習」を修了することで、同等の資格を有するとの認定を受けることが可能です。

講習には下記の7コースがあり、受講者は対象施設に沿ったコースを選択します。

  • ごみ処理施設コース
  • し尿・汚泥再生処理施設コース
  • 産業廃棄物中間処理施設コース
  • 産業廃棄物焼却施設コース
  • 最終処分場コース
  • 破砕・リサイクル施設コース
  • 有機性廃棄物資源化施設コース

各コースにはそれぞれ「基礎・管理課程」「管理課程」の二つの過程があり、(一定の学歴や実務経験に応じて「基礎・管理課程」は免除の場合あり)すべての講習科目を受講することで、技術管理士の能力認定試験を受験することができるようになります。
この試験に合格すると各コースの「技術管理士認定証」が交付され、廃棄物処理施設技術管理者の資格を得ることができます。

講習は随時開講されており、決められた会場で講習を受ける他、一部のコースではEラーニングでの受講も可能となっています。

詳細は一般財団法人日本環境衛生センターのサイトにてご確認ください。
一般財団法人日本環境衛生センター「廃棄物処理施設技術管理者講習」

参考:公益社団法人日本産業廃棄物処理振興センター(入手日付2024-01-03)

廃棄物処理施設技術管理者の設置義務がある施設

廃棄物処理法第二十一条に基づき、一般産業廃棄物処理施設(政令により指定される、し尿処理施設および一般廃棄物の最終処分場を除く)の設置者(市町村が一般廃棄物の処分のために設置した一般廃棄物処理施設においては管理者)または産業廃棄物処理施設(政令で定める産業廃棄物の最終処分場を除く)の設置者は、廃棄物処理施設技術管理者を置くことが義務付けられています。

この義務を怠ると、廃棄物処理法第三十条第九項に基づき、30万円以下の罰金に処されます。廃棄物処理施設技術管理者の欠員がないよう、中間処理を担う事業者は常に人員を確保しましょう。

ただし設置者自らが廃棄物処理施設技術管理者として管理する場合は、新たに設置する必要はありません。

参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 (入手日付2024-01-03)

廃棄物処理施設技術管理者以外の産業廃棄物関連の資格

産業廃棄物の排出・処分・運搬に関しては、廃棄物処理施設技術管理者以外にもいくつか資格があり、主に以下が挙げられます。

  • 特別管理産業廃棄物管理責任者
  • 産業廃棄物収集運搬業
  • 産業廃棄物処分業
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業
  • 特別管理産業廃棄物処分業

それぞれ明確な基準や取得方法が定められています。例えば特別管理産業廃棄物管理責任者に認定されるには、以下の基準を満たしている必要があります。

  • 環境衛生指導員の実務経験が2年以上ある
  • 医師・歯科医師・歯科衛生士・薬剤師・看護師・保健師・助産師・臨床検査技師・衛生検査技師・獣医師のいずれかの資格を有する
  • 大学や高専で医学・薬学・衛生学・保健学・獣医学の課程を修めて卒業した

産業廃棄物関連の資格の概要や取得方法、取得にかかる費用の詳細は、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

廃棄物処理施設技術管理者に関するよくある質問4つ

廃棄物処理施設技術管理者に関するよくある以下の4つの質問と、その回答を解説します。

廃棄物処理施設技術管理者の過去問題はある?

廃棄物処理施設技術管理者の過去問題は、インターネット上で一般公開はされていません。公式の試験問題集や過去の試験問題が簡単には入手できないため、試験の具体的な内容や形式を事前に知ることは難しいでしょう。

そこで重要になるのが、受講コースの内容をしっかり押さえた上で受験に臨むことです。講習は業務に必要な知識を網羅しているのはもちろん、試験に出題される可能性のあるトピックをカバーしています。真剣に受講することが、そのまま試験対策にもつながるでしょう。

廃棄物処理施設技術管理者試験に落ちたら再試験は受けられる?

廃棄物処理施設技術管理者講習を修了した者には、廃棄物処理施設技術管理者の能力認定試験の受験資格が与えられます。制限時間70分の能力認定試験はマークシート方式で、40問出題されます。80%以上(160点以上)得点できると合格です。

万が一不合格でも、最初に受験した日から6カ月以内であれば2回まで再試験を受験できます。6カ月以内に再受験していない場合、もしくは2回の再試験で不合格となった場合は、再度講習を受講しなければなりません。

参考:一般財団法人日本環境衛生センター「廃棄物処理施設技術管理者講習」(入手日付2024-01-03)

廃棄物処理施設技術管理者講習の日程は?

廃棄物処理施設技術管理者講習は、毎年4月~翌3月まで、1年を通して定期的に実施されています。詳細な日程は地域により異なりますので、日本環境衛生センターのサイトでご確認ください。
なお、会場受講の場合、基礎・管理課程の申込みの締切は、原則として開始日の10日前です。

一般財団法人日本環境衛生センター「廃棄物処理施設技術管理者講習」

なお会場受講は、決められた会場にて定められた期間の講習後に試験を受ける方式ですが、Eラーニングはインターネットで講義動画を視聴する方式です。自分のペースで自宅でも受講できるため、会場受講の日程が厳しい場合はこちらも検討してみましょう。

ただしEラーニングの場合、受講できるコースが「ごみ処理施設コース」「破砕・リサイクル施設コース」「産業廃棄物中間処理施設コース」の3つのみである点や、受講期限が「受講申込承認メールが届いてから5カ月間」に設定されている点には注意してください。

参考:一般財団法人日本環境衛生センター「廃棄物処理施設技術管理者講習」(入手日付2024-01-03)

廃棄物処理施設技術管理者の合格率は?

廃棄物処理施設技術管理者の合格率は、公式には発表されていません。講習で内容が網羅されている点や、再試験を2回まで受験できる点を考慮すると、そこまで難易度は高くないといえるでしょう。実際、試験合格率は80〜90%程度とされています。

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