FRPとは？処分方法や処分費用を抑える方法をご紹介

FRP（Fiber Reinforced Plastics：繊維強化プラスチック）は、熱硬化性樹脂にガラス繊維やカーボン繊維を複合させた素材です。化学的・物理的に安定しており、工業製品や船舶、航空機など強度と耐久性、軽量性が求められる場面でよく使用されています。

しかしながら、その壊れにくさから処分が難しい点が問題とされています。

本記事では、FRPの特徴や用途、処分方法、処分費用を抑える方法を網羅的に解説します。FRPの処分方法にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

FRPとは？

FRPとはFiber Reinforced Plasticsの頭文字を取った略語で、日本語では繊維強化プラスチックと訳されます。樹脂にガラス繊維やカーボン繊維など強度を高める繊維を複合させた、強化プラスチックです。FRPは、複合させた繊維により以下に挙げる種類に分類できます。

• GFRP：ガラス繊維
• CFRP：カーボン繊維
• ZFRP：ザイロン繊維
• AFRP：アラミド繊維
• KFRP：ケブラー繊維
• BFRP：ボロン繊維
• DFRP：ダイニーマ繊維

FRP製造に使用される樹脂は、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂、フェノール樹脂をはじめとする熱硬化樹脂です。熱硬化樹脂とは、熱を加えると固化する樹脂です。一定の温度未満では溶けて液体の状態を保ちますが、ある温度を超えると化学的に変化し急激に硬化する特性を持っています。

FRPへの理解を深めるために、特徴や用途を詳しく見ていきましょう。

特徴

FRPは繊維が複合されたプラスチックなので、通常のプラスチックと比較して強度が高く耐久性に優れています。

また、腐食しづらく、湿気や薬品に対する耐性もあるため工業製品や土木建築の資材にも活用されています。

加えて、プラスチックの性質が残っている点も特徴です。軽量で扱いやすく、加工性にも優れています。複合する繊維によって耐熱性を高めたり、絶縁性や導電性を持たせたりと、用途に応じた特性を持たせることも可能です。

用途

FRPは金属やコンクリート、プラスチック単体にはない性質を有しているため、さまざまな用途に用いられます。具体的には以下のとおりです。

• バスユニットなどの住宅機材
• ヨットやクルーザーなどの船舶
• 自動車の部品
• パイプや撹拌機などの化学装置
• シリンダーやボンベなどの圧力容器
• 工業用の機械
• 天板やX線グリッドなどの医療機器
• 電子電気部品
• 航空機・ロケット・人工衛星

大型の構造物から精度が求められる精密機械まで、幅広いサイズの製品製造に対応可能です。あらゆる分野において、なくてはならない素材だと言えるでしょう。

FRPの処分方法

FRP製品の耐用年数は、複合された繊維や使用環境により異なりますが、おおよそ十年から数十年ほどです。

FRPの処分方法は大きく分けて「リサイクルする」と「廃棄物として処理する」の2つです。それぞれの処理方法のメリットや注意点などを、詳しく見ていきましょう。

リサイクルする

FRPは実にさまざまな製品に使用されており、廃棄量は年間30万トンにも及ぶとされています。しかし、頑丈で耐久性のあるFRPは処理が困難で、そのほとんどが埋め立てや焼却処分となっているのが実情です。
循環型社会の実現のためFRPのリサイクルは急務であり、多くの企業や団体によりリサイクル技術の開発が進められています。

リサイクル方法には、マテリアルリサイクル・サーマルリサイクル・ケミカルリサイクルの3つが挙げられます。

マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を物理的・機械的に分解し、同じ素材もしくは別の素材の原料に用いるリサイクル方法です。廃棄されたFRPは破砕されたのち、セメントの原燃料や新しいFRPの原料として再利用することが可能です。

サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、廃棄物を燃焼させる際に発生する熱をエネルギーとして取り出すリサイクル方法です。燃料チップ化を行い、セメント製造時の燃料などに用いられます。

ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学的に分解し、他の製品の原料にするリサイクル方法です。FRP材から樹脂と繊維を分離回収し、再利用を可能とする理想的な方法です。しかし、効率的に処理を行うプラントの開発や処理コストの低減などは今後の課題となっており、大規模な実用には至っていません。

参照：FRPのリサイクルQ&A | JRPS（一般社団法人強化プラスチック協会）

廃棄物として処理する

リサイクル処理が難しいFRP材は、廃棄物として処理されます。廃FRPは、専用の施設で埋め立てや焼却などの処分が実施されます。

廃棄物は大きく、家庭から排出される一般廃棄物と、事業活動に伴い排出される産業廃棄物に分類可能です。一般廃棄物に分類される廃FRP材であっても、大きさや処理の難易度の問題により、自治体で対処するのが難しく専門の産業廃棄物処理業者に依頼するケースがほとんどです。

FRPの処分費用を抑える方法

FRPは耐久性や実用性を重視して作られた素材であるため、リサイクルや廃棄を前提としていません。

化学的に安定したFRPは処理も難しく、処分費用がかかる点が問題です。全国各地の海岸には、バスタブや廃船などFRP製品が不法投棄されており、景観を乱すため問題視されています。

この問題に対処できるFRPの処分費用を抑える方法は、主に2つあります。「処理業者から相見積もりをもらう」「助成金や補助金を申請できないか確認する」のそれぞれの方法を見ていきましょう。

処理業者から相見積もりをもらう

複数の処理業者から相見積もりをもらうと、業者間のサービスの比較や料金の違いを把握できます。サービス内容と料金を照らし合わせて、最もコストパフォーマンスの良い業者に依頼しましょう。

ただし、極端に料金設定が安すぎる業者には注意が必要です。こうした業者に依頼すると、後々追加料金を取られたり、適切な処理が行われず依頼主も罰則が科されたりする可能性があります。

安さは重視しつつも、地区を管轄する都道府県から産業廃棄物処分許可業を得ているのか、FRPの処理実績は豊富かなどは必ずチェックしてください。

助成金や補助金を申請できないか確認する

FRP廃棄に関して、助成金や補助金を申請できないかも確認しましょう。こうした制度を利用すれば、全体的な処理費用を削減できる場合があります。

併せて政府公認のリサイクルプロジェクトがないかも、チェックしてみましょう。

例えば、漁港などに放置されたFRP製の廃船は、かねてより問題となっています。
これに対して一般社団法人日本マリン事業協会では、主要製造事業者と連携した「FRP船リサイクルシステム」を展開。環境省により、廃棄物処理法に基づく広域認定制度の対象品目として認定されました。各地の処理施設を効率的に利用できるこのシステムを利用すれば、FRP船のリサイクルを低コストで実施することが可能です。

参照：一般社団法人 日本マリン事業協会「FRP船リサイクル 」
参照：環境省「廃ＦＲＰ船・廃消火器のメーカーによるリサイクルの推進について」