
モルタルは柔軟性が高く、製造コストも安いことから建築資材として幅広く活用されています。
モルタルは正しい手順や手法により処理しなければ、人の健康や自然環境に悪影響を与える恐れがあります。適切に処分しないと、最悪の場合は罰則が科される可能性もあるため、モルタルの処理に関する正しい知識を持っておくことが大切です。
そこで本記事では、モルタルの概要やコンクリート・セメントとの違い、捨て方をご紹介します。記事後半では、やってはいけないモルタルの捨て方や、モルタルを取り扱う際の注意点も解説するので、併せて参考にしてください。
目次
モルタルとは?
モルタルとは、セメントに砂(細骨材)と水を混ぜ合わせて作られる建築資材です。モルタルには、粗骨材が含まれていません。そのため、柔軟性が高く加工しやすいことから、建物の外壁やレンガ・タイルの接着剤、天井の塗装材料などに適しています。耐久性と耐火性が高く、多くの建設プロジェクトに採用されている素材です。
さまざまな場面で利用されるモルタルですが、加工しやすいが故にもろくて欠けやすく、クラック(ひび割れ)が生じやすいなどのデメリットもあります。
またモルタルは、防水性が低い点もデメリットに挙げられます。この欠点を補うために、通常は表面に撥水加工や防水塗装が施されます。
モルタルへの理解を深めるために、以下の項目を深堀りしていきましょう。
- モルタルが使われる場所
- モルタルの使用目的
- モルタルの比重
- モルタルとコンクリートとの違い
- モルタルとセメントとの違い

モルタルが使われる場所
モルタルはその汎用性の高さから、多くの建築分野で活用されているのが特徴です。壁の施工や修理を行う際に用いられたり、レンガやタイルの接着剤としても活用されたりします。また内装では、美観やデザイン性を向上させるための仕上げ材にも用いられています。
モルタルの使用目的
モルタルの使用目的は、大きく分けて「仕上げ」「接着」「補修」「下地」の4つです。
モルタルはその自然な質感と加工性の高さから、内外装の壁面やフローリング、駐車場の底面、スロープの仕上げ材などに広く用いられています。特に装飾的な外観やデザイン性を追求したい場合に適しており、壁面だけでなく天井に使用されることもあります。
接着剤としての機能も、モルタルの重要な特性の一つです。レンガやブロック、タイルなどの建材を接着する際に用いられ、目地に詰める用途にも使用されています。
モルタルは、ひび割れや損傷・ダメージを受けた部分の補修をする用途にも適しています。隙間の調整や段差の補正にも、モルタルは有効です。
建築分野では、モルタルは下地作りにも使用されています。ペンキ塗装下地、タイル下地、防水下地、外壁・ブロック塀の下地などに用いられ、最終的な仕上がりの質を高める効果があります。
モルタルの比重
比重とは、物質の密度と標準物質である水の密度の比を表したものです。
モルタルの比重は、水とセメントの比率、細骨材の種類や含有率により異なりますが、一般的な配合割合「水:セメント:砂 = 0.5:1:3」の場合は2.1程度です。モルタルを体積から重量に変換したい場合は、体積×2.1でおおよその値を求められるでしょう。
モルタルとコンクリートとの違い
コンクリートとは、セメントに水・砂(細骨材)・砂利(粗骨材)を混ぜ合わせて作られる建築資材です。粗骨材が添加されていることで、モルタルと比較して比重が高く、高い強度を持ちます。その一方で、モルタルより柔軟性はありません。
コンクリートは強度が高いため、一般的に柱や梁、壁など建物の構造体に使用されます。柔軟性の低さが難点なので、これを補うためにコンクリート内部に鉄筋を入れた「鉄筋コンクリート」が広く普及しています。
モルタルはその加工性の高さから装飾や仕上げ材などに適している一方で、コンクリートは強度が必要となる場面で用いられているのが、両者の違いです。
モルタルとセメントとの違い
セメントとは、モルタルやコンクリートを製造する原料となるものです。主に石灰石と粘土から作られ、高温で焼いた後に粉末状に成形されます。セメントは大きく「ポルトランドセメント」「混合セメント」「特殊セメント」に分類されますが、一般にセメントという場合は、ポルトランドセメントを指します。
セメントはモルタルやコンクリートを作る素材であり必要不可欠ですが、そのままの状態で建築材料に用いられることはありません。水や細骨材、粗骨材などを混合して初めて、さまざまな建築ニーズに応えることができるのです。その点モルタルは、使用目的に応じて調整された素材であり、直接施工に使用できます。
モルタルの捨て方
廃棄されるモルタルは、産業廃棄物として処分する必要があります。産業廃棄物の「がれき類」に該当するため、粗大ゴミや不燃ゴミとして処分することはできないため、注意しましょう。
数ある産業廃棄物処理業者から適切な業者を見分けるためには、以下のポイントを意識してください。
- 自治体から処理許可業を得ているか
- 行政処分歴がないか
- モルタルの処理実績は豊富か
- 優良認定制度を受けているか
- (電子)マニフェスト作成に対応しているか
上記のうち、自治体から処理許可業を得ているかは必ず確認してください。無許可業者に依頼すると、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により、排出事業者にも5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
※参考:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 ,(入手日付2024-04-06)
やってはいけないモルタルの捨て方
やってはいけないモルタルの捨て方は、以下の通りです。
- 水道に流して捨てる
- 硬化したモルタルを庭や路上へ放棄する
- モルタルの容器を分別しない
上記を遵守しなければ、場合によっては法令違反となる可能性があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
水道に流して捨てる
モルタルの原料であるセメントは、水と反応して硬化する性質があります。そのため、そのまま水道に流すと排水口や排水管、下水道管で固まり詰まる可能性があるでしょう。詰まりにより公共インフラが大きなダメージを受けることも考えられるため、使用済みのモルタルはそのまま水道に流して捨てることがないようにしましょう。
硬化したモルタルを庭や路上へ放棄する
硬化したモルタルを庭や路上へ放棄する行為も、近所迷惑になるため行わないでください。公共の場はもちろん、仮に自らの敷地内であっても、産業廃棄物を放置すると不法投棄に当たるため注意してください。
また、原料であるセメントはアルカリ性なので、植物の成長に悪影響を及ぼします。モルタルを含む建材の破片や粉末が、土壌に混入させるのは避けるべきでしょう。
モルタルの容器を分別しない
モルタル自体を適切に処理するのはもちろん重要ですが、モルタルを混ぜ合わせるために用いた容器も分別する必要があります。そのまま処理すると、環境汚染の原因となり得るでしょう。
モルタルが固まる前に、可能な限り拭き取り、その上で洗い流してください。完全に拭き取ることができれば、そのまま使用するかもしくは素材に応じた廃棄方法で処理しましょう。モルタルが既に固まって取り外せない場合は、地方自治体に判断を仰ぐか、異なる素材が混ざった産業廃棄物の処理を請け負っている処理業者に依頼してください。
なお、このとき用いた排水はモルタルに汚染されており、そのまま捨てると環境に負荷がかかります。モルタルはアルカリ性なので、ホームセンターや通販サイトなどで販売されている中和剤を用いて、中和してから捨てましょう。
モルタルを扱う際の注意点
モルタルを取り扱う際は、「使った道具はすぐに洗う」「余ったら固まらないように保管しておく」の2点に注意してください。それぞれの注意点を詳しく解説します。
使った道具はすぐに洗う
モルタルを取り扱う際に使った道具は、使用直後にすぐに洗ってください。モルタルが硬化すると、取り除くことが困難になるためです。
まずは、完全に乾燥する前に大きめの容器に水をためて洗い流します。道具に付着したモルタルの残留物は、ブラシややすりを用いてこすり落としてください。
先述したように、容器にたまっている排水はモルタル粒子を含んでいる可能性があるため、そのまま排水口に流してはいけません。直接流すと詰まりの原因となるため、中和させてから流しましょう。
余ったら固まらないように保管しておく
モルタルが余ったら、固まらないように保管しておきましょう。
水を加えていない乾燥したモルタルの場合は、空気中の湿気や水分から保護することが重要です。湿気を吸収しやすく、時間が経過するとともに固まる性質があるため、密閉性の高いプラスチック容器や袋に入れて保管します。その上で、乾燥剤を入れるとより保護効果を高められるでしょう。
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