
畜産農業から排出される動物のふん尿は、産業廃棄物に該当します。そのため、一般廃棄物と分別した上で、法律や政令に基づき適切に処理する必要があります。
そこで本記事では、産業廃棄物の一種である動物のふん尿の概要や、発生量の現状などを詳しく解説します。記事後半では、動物のふん尿の処理方法やリサイクルの現状も併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
動物のふん尿とは?
産業廃棄物「動物のふん尿」とは、畜産農業に伴って発生する動物の糞や尿のことです。
畜産農業とは、日本標準産業分類における大分類「畜産農業」に該当する業種を指します。
(2) 畜産農業とは – 総務省|統計基準等|日本標準産業分類(令和5年7月告示) |
畜産農業に関わる動物というと、牛や豚、鶏などのイメージがありますが、それ以外にもブリーダーに飼育されている犬や猫、実験用に飼育されているマウスなどの動物も該当します。
これらの業種から排出された動物のふん尿は、産業廃棄物として専門業者に処理を依頼をしなくてはいけません。ただし、対応できるのは「動物のふん尿」の処理業許可を受けた事業者のみとなるため、外部へ回収・処分を委託する場合は注意が必要です。
動物のふん尿を産業廃棄物として扱わない業種
動物を扱う業種として、動物園やペットショップ、動物病院なども挙げられますが、畜産農業には該当しません。動物園は「教育、学習支援業」、ペットショップは「卸売業、小売業」、動物病院は「獣医業」にそれぞれ分類されます。
これらの業種から発生した動物のふん尿は、一般廃棄物として処理します。ただし、排水処理を行った後のものは産業廃棄物の汚泥、ふん尿が付着したペットシーツは産業廃棄物の廃プラスチック類に分類されます。
参考:総務省|統計基準等|日本標準産業分類(令和5年7月告示)
参考:千葉市からのお願い
動物のふん尿発生量の現状
環境省の公表した資料「産業廃棄物の排出・処理状況等」によると、令和3年度の「動物のふん尿」の排出量は、81,271千トンです。これは全産業廃棄物のうち、汚泥の162,676千トンに次ぐ水準で、全体の21.9%を締めています。
動物のふん尿の排出量のうち、95.0%にあたる77,220千トンが再生利用、4.9%にあたる4,008千トンが減量化、0.1%にあたる43千トンが最終処分されています。減量化とは、リサイクル促進、排出量の削減、発生の抑制などを行い廃棄物の総量を削減することです。
動物のふん尿は、数ある産業廃棄物の中でもリサイクル率が高く、農業・工業分野で肥料やエネルギーとして再利用されています。がれき類の96.4%、金属くずの95.9%に次いで3番目に高い水準です。
※参考:環境省.「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」(参照 2024-04-10)
動物のふん尿の処分方法
動物のふん尿は、廃棄物処理場に運ばれ、埋め立て処理やリサイクルなどにより処分されています。
埋め立て処理
埋め立て処理が施される場合、管理型産業廃棄物最終処分場にて実施されます。
管理型産業廃棄物最終処分場とは、有害物質が基準値未満の産業廃棄物を埋め立てる最終処分場です。環境汚染を防止するために、廃棄物の流出を防止する貯留設備、地下水汚染を防止する遮水設備、浸出水を集水する設備、ガスを排除する設備などが備えられています。
リサイクルする
動物のふん尿は、その多くがリサイクルされていることは先述した通りですが、主に「肥料」や「バイオマスエネルギー」に変換されています。それぞれのリサイクル方法を見ていきましょう。
肥料
動物のふん尿には、リンや窒素、有機物など栄養価が高く植物の成長に欠かせない要素が多く含まれているため、肥料として再利用が可能です。国内の農業生産に使用される肥料は主に海外製であり、依存度を減らせる観点から関心が高まっています。
バイオマスエネルギー
バイオマスエネルギー(biomass energy)とは、動植物などの有機性資源から得られるエネルギーの総称です。動物のふん尿からは、いくつかの方法によりバイオマスエネルギーを生成できます。
代表的な手法が、メタン発酵です。この過程で生じるメタンガスを利用し、熱や電気を生成します。その他、水分量の少ないものは焼却や炭化などのプロセスにより、電気発電・土壌改良材・脱臭剤などに活用されます。
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