アスファルトガラ・コンクリートガラの再利用方法とは?法律やリサイクルの現状なども紹介

アスファルトガラ・コンクリートガラの再利用方法とは?建設リサイクル法も紹介

公共インフラを支える道路や建築資材、工業製品にはアスファルトやコンクリートが用いられています。ヒビが入ったり剥がれたりして寿命が訪れたものは、アスファルトガラ・コンクリートガラに分類されます。

アスファルトガラ・コンクリートガラのリサイクル率は非常に高く、廃棄物の最終処分量を大幅に減少させることに貢献しているため、循環型社会の実現に寄与しているといえるでしょう。

本記事では、アスファルトガラ・コンクリートガラの概要や用途、建設リサイクル法などを解説します。

アスファルトガラ・コンクリートガラとは?

アスファルトガラ・コンクリートガラとは、建設現場や解体工事で発生する産業廃棄物で、がれき類に分類されます。
がれき類とは、「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」と定義される産業廃棄物です。

コンクリートガラは解体工事や建築時に排出されるコンクリートのがれきです。一方、アスファルトガラは、道路工事などでアスファルト混合物を剥離した際に出る廃棄物です。

※※参考:e-Gov法令検索.「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第二条の九)」(入手日付2024-05-15)


DXE株式会社資料DL

アスファルトの用途

アスファルトの用途は、主に以下のとおりです。

  • 防水剤
  • 乳剤
  • 道路舗装材
  • 工業用製品

布や紙にアスファルトを浸透させたアスファルトフェルトや、ゴムやプラスチックを添加した改質アスファルトは、建物の屋根の防水工事に使用される、防水剤となります。

乳剤とは、水・アスファルト・界面活性剤を混合した褐色の液体です。舗装の表面処理や安定処理に用いられます。

アスファルトは骨材やフィラー(充填材の一種)などを加えると、道路舗装材にも使用できます。

鉄筋や自動車塗料、電池の絶縁材料にもアスファルトは欠かせない素材です。

コンクリートの用途

コンクリートは種類によって、用途が異なります。コンクリートの種類ごとの特徴と用途は、以下の表のとおりです。

種類 特徴 用途
普通コンクリート 一般的なコンクリート 道路・鉄道・住宅・工場などの舗装
軽量コンクリート 普通コンクリートより重量が軽いコンクリート 屋根の防水
高強度コンクリート 強度を高めたコンクリート 高層建築物の下層階構造
流動化コンクリート 流動硬化剤が添加されたコンクリート プレキャスト工場製品
高流動コンクリート 流動性を特に高めたコンクリート 高層ビルなどの大型構造物
マスコンクリート 大規模に施工される質量や体積の大きいコンクリート ダムや橋桁、大きな壁
水密コンクリート 水とセメントの比率を調整し、水密性を高めたコンクリート プールや水槽など水圧がかかる場所

建設リサイクル法とは?

アスファルトガラ・コンクリートガラの再生利用方法や現状を把握するためには、建設リサイクル法を理解しておくことが重要です。

建設リサイクル法(正式名称:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)とは、「コンクリート」「木材」「アスファルト・コンクリート」などの特定建設資材の再資源化を促進する法律です。
「廃棄物の発生量が年々増大し、最終処分場がひっ迫している」「不適切処理や不法投棄が相次いで発生している」などの背景から、2000年年5月に制定されました。

建設リサイクル法では、特定建設資材を用い、かつ一定規模以上の建設工事・解体工事の場合、その受注者に対し再資源化を義務付けています。対象となる工事の条件は、以下のとおりです。

  • 建設物の解体現場で床面積が80平方メートル以上
  • 建設物の新築または増築の工事で床面積が500平方メートル以上
  • 建設物の修繕・模様替えなどの工事金額が1億円以上
  • 建設物以外の工作物の解体工事または新築工事で工事金額が500万円以上

特定建設資材の再資源化義務に加えて、「解体工事業者の都道府県知事への登録制度」「元請業者から発注者への報告義務」「技術管理者による解体工事の監督」「主務大臣による具体的な行動計画や指針の立案」なども規定されています。

※参考:環境省「建設リサイクル法の概要」(入手日付2024-03-16)

アスファルトガラ・コンクリートガラのリサイクル率

アスファルトガラ・コンクリートガラのリサイクル率は、数ある産業廃棄物の中でも高く、99%以上(最終処分率0.5〜0.7%程度)がリサイクルされています。

これほどリサイクル率が高いのは、建設リサイクル法が施行されたことが大きな要因でしょう。施行以前はアスファルトクズ・コンクリートクズを含む建設廃棄物全体の再資源化率は58%程度でしたが、施行年には85%に達し、現在ではほぼ全数がリサイクルされています。

※参考:国土交通省「「建設リサイクル推進計画2020」(案)~「質」を重視するリサイクルへ~(参考資料)」 p22 p48 ,(入手日付 2024-03-16)

アスファルトガラ・コンクリートガラのリサイクル利用方法と用途

アスファルトガラ・コンクリートガラのリサイクル利用方法と用途は、以下が挙げられます。

  • 産業廃棄物として破砕処理する
  • 路盤材として再利用する
  • 再生骨材の原料として再利用する

それぞれの再生利用方法の特徴をご紹介します。

産業廃棄物として破砕処理する

アスファルトガラ・コンクリートガラは、産業廃棄物として破砕処理が可能です。破砕処理は、建設工事や解体工事から排出される廃材などをリサイクルする過程で実施されます。

アスファルトガラ・コンクリートガラが発生した段階では大きな塊状のものもあり、大きさが不ぞろいなので、このままではリサイクルには利用できません。
そこで機械を用いて細かく破砕し、後述する「路盤材」や「再生骨材」などの再生利用可能な資源の原料として活用します。

工事現場から排出されるアスファルトガラ・コンクリートガラには、異物やその他の産業廃棄物が混入していることも少なくありません。よくあるのが、鉄筋や金属類が混ざっているケースです。この場合は、産業廃棄物の種類ごとに分別し、さらに必要に応じて磁力選別機にかけた後、リサイクル処理が実施されます。

路盤材として再利用する

路盤材とは、道路や舗装された路面を構築・強化する際に使用される材料です。路盤は上層と下層に分けられ、交通車両の荷重を均一に分散して、路床に伝える役割があります。上層は下層よりも強度が要求され、砕石やスラグなどの良質な材料が用いられます。

粒状の路盤材料にセメントやアスファルトなどを加えて安定化処理した材料も利用できるため、ここでアスファルトガラ・コンクリートガラはリサイクルが可能です。

再生骨材の原料として再利用する

アスファルトガラ・コンクリートガラの路盤材以外の活用方法として、国土交通省では再生骨材コンクリートの原料に用いることを推進しています。

再生骨材とは、建設工事や解体工事で排出されるアスファルトガラ・コンクリートガラを再利用した骨材です。JIS規格(日本産業規格)により、以下の3つに分類されます。

分類名 特徴 用途
再生骨材L 耐久性と強度は低め
安価で製造できる
捨てコンクリート
ならしコンクリート
裏込・土間コンクリート
再生骨材M LとHの中間の耐久性と強度がある 鉄筋コンクリート製品
杭・基礎梁の素材
再生骨材H 耐久性と強度は高い
再生骨材の中でも高度な処理が必要になる
建物の主要構造部分
一般用途のコンクリート

特にコンクリート塊を主原材料とする再生骨材コンクリートのJIS規格は、2018年5月の大幅改正により製造者の負担が軽減されたので、今後より一層普及していくことが期待されています。

※参考:国土交通省「「建設リサイクル推進計画2020」(案)~「質」を重視するリサイクルへ~(参考資料)」 (入手日付 2024-03-16)

建設工事現場から出る廃棄物の再利用をめぐる現状

建設工事現場から出る廃棄物の再利用をめぐる現状に関して、「一般的なコンクリート以上の強度を示す材料にリサイクルできる技術の登場」を解説します。

一般的なコンクリート以上の強度を示す材料にリサイクルできる技術の登場

東京大学の研究チームは、アスファルトガラ・コンクリートガラを100%リサイクルして、従来のコンクリートよりも強度が高い材料を製造する新技術を開発しました。

一般的なコンクリートは、セメント・砂・砂利・水を混合して製造されます。セメント製造時に発生する二酸化炭素の排出量が全世界の二酸化炭素排出量の8%を占めるなど、環境負荷が高く、原料も世界的に不足しているのが現状です。

また廃棄予定のアスファルトガラ・コンクリートガラの多くはリサイクルされているものの、その多くは十分な強度を示さず、近年の建設需要の低迷で再利用先が限定されていました。

開発された新技術では、がれき類を粉砕し圧縮成形した後、高圧水蒸気で処理します。この処理により、リサイクルされた素材の強度が約5倍にまで増強され、一般的なコンクリートと比較しても2倍以上の強度を持ちます。

今後は、新技術に支えられるリサイクルコンクリートのさらなる応用と耐久性の検証が実施される予定です。

※参考:東京大学「【記者発表】世界初、コンクリートを100%リサイクル~がれきを砕いて圧縮成形し、高温・高圧で蒸す新手法~」(入手日付 2024-03-16)

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