BCPの対策方法や策定率をチェック!実態調査結果を解説

BCPの策定状況や実態を解説!

前回のコラムでは『事業継続計画(BCP/BCM)の策定』について全体プロセスといくつかの取り組み事例についてご説明しました。

今回のコラムでは、2022年3月に、内閣府より公表されている「令和3年度 企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査」のポイントを抜粋して、BCPの策定状況やその中身について確認してみました。
大企業や中堅企業のそれぞれの対策方法や策定率をチェックしましょう。

事業継続ガイドライン公開の背景やBCPの策定状況

背景

我が国における事業継続の取り組みのあり方の指針として「事業継続ガイドライン第一版」が2005 年8月に策定されました。
その後、東日本大震災の教訓や平常時からの取り組み、継続的な改善の重要性などを踏まえ、事業継続マネジメント(BCM)を前面に押し出し、2021年4月に「事業継続ガイドライン第三版」が改訂版として公開されています。

また、国土強靱化年次計画2021において、BCP の策定割合の目標値が大企業は100%中堅企業は50%とされています。

BCP策定状況

2017年度 2019年度 2021年度
大企業
回答数(n)=608社
策定済 64.0% 68.4% 70.8%
策定中 17.4% 15.0% 14.3%
合計 81.4% 83.4% 85.1%
中堅企業
回答数(n)=607社
策定済 31.8% 34.4% 40.2%
策定中 14.7% 18.5% 11.7%
合計 46.5% 52.9% 51.9%

大企業・中堅企業とも策定済企業は着実に増えています。国土強靭化計画2021の目標値達成にはもう少し時間がかかりそうです。
また、策定中を合わせた合計で見ると中堅企業は伸び悩みはじめていると言えます。

BCPを策定したきっかけ

大企業(n=585社) 中堅企業 (n=492社)
リスクマネジメントの一環として 37.8% リスクマネジメントの一環として 29.7%
企業の社会的責任の観点から 15.6% 親会社・グループ会社の要請 19.5%
過去の災害、事故の経験 15.5% 過去の災害、事故の経験 12.3%
親会社・グループ会社の要請 9.0% 企業の社会的責任の観点から 12.2%

BCPを策定したきっかけは、大企業・中堅企業とも「リスクマネジメントの一環として」の割合が高く、大企業においては4 割近くとなっています。
大企業は「企業の社会的責任の観点から」が続いており、自主的に策定し、対策している傾向が強いのに対して、
中堅企業においては「親会社・グループ会社の要請」の割合が大企業と比較して高くなっており、外部からの要請などのきっかけが重要なのかもしれません。


DXE株式会社資料DL

BCPの記載項目や、策定するうえでの問題点

BCPの記載項目

大企業(n=437社) 中堅企業(n=250社)
従業員の安全確保 96.5% 従業員の安全確保 95.1%
災害対応チーム創設 87.8% 災害対応チーム創設 78.8%
水・食料等の備蓄 84.4% 水・食料等の備蓄 75.9%
意思決定者の設定等指揮命令系統 82.3% 意思決定者の設定等指揮命令系統 68.6%
重要業務の決定 79.1% 重要業務の決定 64.2%

BCPの記載項目は、大企業・中堅企業とも「従業員の安全確保」の割合が9 割を超えています。
また、全ての項目において、大企業の回答割合が高くなっていますが、「災害対応チーム創設」以下の項目ではその差が大きくなっており、大企業のほうが多岐にわたる検討がなされています。

BCPの策定や推進に関する問題点、課題

大企業(n=437社) 中堅企業(n=250社)
部署間の連携が難しい 45.6% BCPに対する現場の意識が低い 38.6%
策定する人手を確保できない 31.6% 部署間の連携が難しい 34.7%
BCPに対する現場の意識が低い 30.1% 策定する人手を確保できない 32.8%
サプライチェーン内での調整が難しい 27.8% バックアップシステムの構築が難しい 19.1%
策定に必要なスキル・ノウハウがない 19.0% 策定に必要なスキル・ノウハウがない 16.1%

BCPの策定や推進に関する問題点・課題としては、大企業では「部署間の連携が難しい」、中堅企業では「BCPに対する現場の意識が低い」がトップになっています。
また大企業では「サプライチェーン内での調整が難しい」が3割近くとなっています。
これに対して中堅企業では「バックアップシステムの構築が難しい」が2割近くとなっています。
中堅企業は広域に独自のネットワークを持つことが難しいため、自治体・行政などの公的機関や業界組合(例えば資源循環協会)と連携を取ることが有効なのかもしれません。

被害後に新たに実施した取り組み

大企業(n=421社) 中堅企業(n=353社)
備蓄品(水、食料、災害用品)の購入・買増し 66.7% 備蓄品(水、食料、災害用品)の購入・買増し 51.2%
訓練(安全確認、帰宅、参集等)の開始・見直し 62.8% 訓練(安全確認、帰宅、参集等)の開始・見直し 41.8%
安否確認や相互連絡のための電子システム導入 59.1% 安否確認や相互連絡のための電子システム導入 39.1%
リスクに対する基本的な対応方針の策定 51.2% リスクに対する基本的な対応方針の策定 37.8%

被害後に新たに実施した取り組みは、大企業・中堅企業とも若干差はあるものの「備蓄品(水、食料、災害用品)の購入・買増し」が高い割合となっています。
一方、「訓練(安否確認、帰宅、参集等)の開始・見直し」以下の項目では大企業と中堅企業の差が大きくなっており、大企業のほうが対策においても多岐にわたっていると言えます。

まとめ

昨年の実態調査は、大企業:約1,900社、中堅企業:約2,000社、その他企業:約2,100社に発送され、それぞれ約30%にあたる企業より回収されています。
その他企業においても大企業や中堅企業と同様の傾向が現れています。

本文で紹介した項目以外に企業が重視しているリスクとしては、
①地震:93.5%
②感染症(新型インフルエンザ、新型コロナ):81.2%
③火災・爆発:54.9%
が上位を占めており、BCPの対象として2~3種類の災害を対象としている企業が約4割を占めています。

日本の産業分類では産業廃棄物処理業がサービス業に含まれてしまうため、今回の実態調査結果から業界の傾向を掴み取ることができませんでしたが、中堅企業の約半分でBCPの策定が行われていない状況です。

調査結果においてもBCP策定に充てる人員確保ができない、策定に必要なスキル・ノウハウがないと回答している企業も一定数あることから、何から手をつければ良いのかわからないという企業も多いかと思います。

いきなり高度なBCPを策定しようとするとハードルは高くなりますので、まずは「大地震の発生から考えてみよう」「最近ゲリラ豪雨に見舞われる事が多いから、河川氾濫や内水氾濫発生時の対応を考えてみよう」という様に、イメージし易そうな災害を起点として自社の災害対応力の向上につなげていただければ幸いです。
また、自社だけでは対応が難しいと思われますので、自治体・行政などの公的機関や業界組合(例えば資源循環協会)と連携を取ってみてはいかがでしょうか。

引用元:令和3年度 企業の事業継続及び防災に関する実態調査結果(令和4年3月):内閣府


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