排出事業者とは?定義・責任・処理から報告までの留意点を解説

排出事業者とは?定義・責任・処理から報告までの留意点を解説

排出事業者の明確な定義は存在しないものの、実質的には廃棄物を排出した事業者が該当します。処理責任のほか契約書の締結義務やマニフェストの交付など事業者の仕事はさまざまです。今回は排出事業者の定義や責任、処理から報告までの具体的な業務フローを解説します。

本記事を読めば自社が産業廃棄物の処理で何を行うべきか分かり、手続きをスムーズに行えるようになるでしょう。

排出事業者とは?

法律では産業廃棄物の排出事業者に関する明確な定義は実は存在しません。しかし、産業廃棄物処理法の第3条第1項に「事業者が事業活動に伴い生じた廃棄物は自らの責任において適切に処理しなければならない」とあります。
この規定から、排出事業者は「事業活動に伴って廃棄物を排出した事業者」だと実質的に定義されていることがわかります。
また、「自らの責任において適切に処理しなければならない」と規定されていますが、現状では多くの排出事業者が、許可を持った収集運搬業者や処分業者に対して処理を委託しています。

※参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(入手日付2023-06-07)


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排出事業者の責任

産業廃棄物処理法では排出事業者に課される義務について細かな規定があります。処理責任や委託基準、マニフェストの交付義務、従わなかった場合の罰則などの遵守すべきルールは次のとおりです。

処理責任について

原則として産業廃棄物の排出事業者は自らの責任で廃棄物を処理しなければなりません。万が一自分で対応が難しい場合は、都道府県知事の許可を得た収集運搬・処分業者に対して処理を委託できます。

ただし後述する委託基準の遵守や、処理業務に関するマニフェストの作成・交付が必要です。さらに排出事業者の責任を明確にするため、産業廃棄物の発生から処分が完了するまでの一連の処理が適正に行われるよう、必要な措置を講じる努力義務が定められています。

たとえば適正な処理に十分な費用を負担すること、技術的な能力や経済基盤が不十分な業者に依頼をかけないこと、処理が不適切だと判断した場合迅速に依頼を中止することなどが挙げられます。

委託について

排出事業者が遵守すべき委託基準の主たる内容は「適正な委託先の選定」と「産業廃棄物処理委託契約書の作成・締結」です。

都道府県知事から産業廃棄物の許可を受けた処理業者であっても、事業者が排出する廃棄物に対応できる許可を有する業者かどうか確認が必要です。

収集運搬業および処分業の許可は別個のものなので、処分を委託したい場合、収集運搬業の資格しか持っていない業者に依頼してはいけません。

産業廃棄物の処理委託契約では契約書の作成・締結が必須です。民法上、契約は口頭の約束だけで成立しますが、排出事業者および産業廃棄物処理業者の間では書面で契約を取り交わす必要があります。

また原則三者間の契約は禁止で、収集運搬業者と処理業者で別々に依頼する場合、それぞれ個別の契約書の作成が必要です。

マニフェストについて

契約の締結後、実際に産業廃棄物の処理を業者に任せる際、排出事業者はマニフェストと呼ばれる伝票を交付する義務が生じます。

マニフェストの記載項目は法律に規定されており、産業廃棄物の数量や種類、処分方法、運搬先の事業場をはじめ計16項目の記載が求められます。

また、交付したマニフェストには5年間の保管義務があり、年に一回は交付状況について都道府県知事等に報告しなければいけません。

交付方法は紙と電子の2種類があります。電子マニフェストは都道府県知事等に対する報告義務を省力化でき、書類の管理の手間を削減できるのがメリットです。

業種に限らず電子化の波が到来しているので、紙による煩雑な処理を手間に感じる場合は電子手続きを検討してはいかがでしょうか。

法令違反による罰則

産業廃棄物の排出事業者はマニフェストの交付義務や契約書の作成義務に違反してしまうと、懲役や罰金刑に処される可能性があります。

委託先の業者が不適切な処理を行っていると、注意義務違反として排出事業者にも処罰が下る可能性があるので注意してください。自らがルールを守るのはもちろん、収集運搬処理業者に対する監督責任も問われるのがポイントです。

法令違反の具体例は、許可を受けずに廃棄物の運搬・処理事業を営む無許可営業や、マニフェストに記載すべき事項が漏れた状態で交付したり虚偽の記載をしたりする記載義務違反や虚偽記載などです。

排出事業者が処理から報告までにすべきこと

排出事業者は産業廃棄物の適正な処理を行うほか、都道府県に対する報告の義務があります。具体的にどのような処理が必要で、報告書類や届出には何があるか紹介します。

産業廃棄物の処理

まず紹介するのが、産業廃棄物の処理で排出事業者が行うべき作業です。排出事業者が自ら処分する場合だけでなく、業者に委託する場合でも必要な仕事があるので注意しましょう。

排出事業者自ら処分する場合

排出事業者は廃棄物処理法施行令の産業廃棄物処理基準に則って処理を行わなければいけません。一例を示すと、産業廃棄物の運搬車両には両側面に氏名や名称および産廃の運搬車両である旨を明記することや、運搬時に廃棄物が飛散・流出しないようにし、近隣に悪臭や騒音を出さない配慮が求められます。

業者に委託する場合

排出事業者は許可業者への処理委託、契約の締結、マニフェストの運用にいたるすべての工程が適切かどうか監督する義務を負います。

都道府県の許可を得た委託先か、契約は書面で締結したか、収集運搬や処分が完了した段階で委託先からマニフェストの返送を受けたかなどをチェックしましょう。

報告・届出

排出事業者は次に掲げる報告書の提出や届出が必要です。

産業廃棄物管理票交付等状況報告書

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付者は毎年、交付状況に関して都道府県知事に報告を行わなければなりません。4月1日〜3月31日までに交付したマニフェストの交付状況を翌年の6月30日までに交付します。

多量排出事業者の処理計画書・処理計画実施状況報告書

多量排出事業者に該当する場合、多量排出事業者の処理計画書や処理計画実施状況報告書を毎年6月30日までに提出しなくてはいけません。多量排出事業者とは前年度の産業廃棄物の発生量が1,000トン以上である事業場を保有する事業者を指します。

特別管理産業廃棄物管理責任者

特別管理産業廃棄物の排出事業者は特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、あわせて知事への報告が必要です。

特別管理産業廃棄物とは揮発性や毒性、感染性、その他人や生活環境に悪影響を及ぼす恐れがある性状の廃棄物を示し、廃油や廃酸、廃アルカリなどが該当します。

排出事業者についてよくある質問

排出事業者に関して知識が不足している方向けに、よくある質問に対する回答を紹介します。

排出事業者とは?

廃棄物に関しては適正な処理に努めることが何よりも重要です。法律では事業活動に伴い生じた廃棄物は事業者が自らの責任で処理しなければならないと定めがあります。つまり、廃棄物を排出した事業者=排出事業者と考えて差し支えありません。

廃棄物は第一に発生抑制、第二に排出された資源の有効活用、第三に使い道がない資源の適正な処理が求められます。廃棄物の削減やリサイクルを念頭に置き、できる限り排出量を減らすよう心がけましょう。

排出事業者の責任とは?

排出事業者の責任は法律で細かく定義されています。処理基準に則った適切な処理のほか、外部に委託する場合は委託基準の遵守や契約書の作成、マニフェストの交付義務が付随します。

収集運搬業者や処理業者を活用する場合、業務の負担軽減を期待できても委託先の監督義務が生じることに注意してください。原則として廃棄物の処理責任は排出事業者が負うので、外部への丸投げは避けましょう。

排出事業者が法令違反するとどうなる?

排出事業者が法令違反を犯すと、罰金や懲役などの刑罰が課されます。違反してすぐに罰則が課されるとは限りませんが、行政処分を受けたにもかかわらず命令に従わない場合、事業停止や許可取り消しを受けた後に刑事罰の要求を受けることになります。

実際に廃油や廃プラスチックを不法投棄した事件では排出事業者に対して懲役や罰金刑が言い渡されているのが実情です。

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