
今回のコラムでは、産業廃棄物業界での大きなトピックスをご紹介します。
目次
大栄環境が東京証券取引所プライム市場へ新規上場
廃棄物処理大手で、兵庫県神戸市(六甲アイランド)にグループの本部を置く 大栄環境(大阪府和泉市)は、12月14日東京証券取引所プライム市場へ新規上場しました。
上場とは?
「上場」とは企業が発行する株式を証券取引所で売買できるように、証券取引所が資格を与えることをいいます。
上場によって、企業は円滑な資金調達が可能となるほか、社会的信用や知名度の向上といったメリットがあるとされる一方で、上場を維持するためのコストの増加や社会的責任の増大といった新たな負担も生じることとなります。
上場するには、証券取引所の審査があります。東京証券取引所は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場に分かれていますが、プライム市場は最も厳しい基準を満たす必要があります。
連結経営指標等
新規上場申請のための有価証券報告書に記載されている連結経営指標等は下表のとおり。
連結売上高650億円、従業員2,000人を超える、業界を代表する企業グループです。
2021年3月 | 2022年3月 | |
---|---|---|
売上高(百万円) | 61,608 | 64,992 |
経常利益(百万円) | 14,155 | 13,304 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 9,230 | 8,870 |
純資産額(百万円) | 53,236 | 60,070 |
総資産額(百万円) | 151,617 | 158,282 |
従業員数(人) (外、平均臨時雇用者数) |
1,954 395 |
2,043 398 |
※引用:「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」(大栄環境株式会社)
連結子会社・事業拠点
連結子会社29社、事業拠点62ヶ所を擁しています。

※引用:「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」(大栄環境株式会社)
「環境(廃棄物処理)セクター」の売上高・営業利益
「環境(廃棄物処理)セクター」の主要企業の売上高および営業利益を見てみましょう。
セクター」の売上高・営業利益.png)
企業名 | 決算期 | 売上高 (億円) |
営業利益 (億円) |
---|---|---|---|
DOWA環境 | 2022/3 | 832 | 137 |
大栄環境(連結) | 2022/3 | 650 | 128 |
ダイセキ(連結) | 2022/2 | 569 | 129 |
TRE-HD | 2022/3 | 450 | 51 |
J&T環境※1 | 2022/3 | 364 | 8 |
アイザック※1 | 2022/4 | 338 | 67 |
アサヒ-HD 環境 | 2022/3 | 186 | 37 |
東芝環境S※1 | 2022/3 | 165 | 25 |
三和油化(連結) | 2022/3 | 155 | 16 |
要興業(連結) | 2022/3 | 119 | 13 |
ミダックHD | 2022/3 | 64 | 23 |
アミタHD | 2021/12 | 52 | 6 |
※1 産廃情報ネットより
DOWAとアサヒホールディングスは、環境セグメントの数字
アイザック(非上場)はアイザック・オール、アイザック・トランスポートの単純合計
資本市場が評価する企業価値は、一時の損益ではなく、時価総額(株価×発行済株式)になります。
上場企業の時価総額(12/14終値)は次のとおりです。売上高の順番と必ずしも一致しませんね。
これは成長性を含む将来にわたる収益力やブランド力などを反映していることによります。

大栄環境さんの時価総額は1,707億円、予想PERは19.7倍です。ダイセキさんには及びませんね。
ミダックさん、アミタさんは、将来性が買われて企業価値を高く評価されていますね。(予想PERが高い)
これを機に環境(廃棄物処理)セクターの地位が上がり、人材や資金が集まる機会になることを期待しております。
アミタホールディングス 子会社の商号変更&会社分割を発表
アミタホールディングス株式会社(2195)は11月10日に連結子会社の商号変更および会社分割に関する発表を行いました。
来年からは、廃棄物のリサイクル事業を行う「アミタサーキュラー株式会社」と環境コンサルティング事業を行う「アミタ株式会社」を子会社に持つことになります。
加えて、11月25日には「AMIDAO株式会社」の設立を発表しました。
これを受けて同社の株価は約2倍に上昇しました。11月の株価の推移は下表のとおりです。

「AMIDAO株式会社」の設立目的(同社プレスリリースより抜粋)
2022年はweb3元年とも言われ、国内外で「分散型のインターネット」と呼ばれるweb3の動きが加速しています。
今まではWebプラットフォームを介して情報収集や情報発信をしていた状況が、web3により、管理者が存在しなくても、ブロックチェーン技術を活用してユーザー同士でのデータ管理、個人間でのコンテンツの提供、デジタルデータの販売、送金などが可能になりました。
現在、これらの特性を活かして独自 のトークン(※1)を発行し、独自の経済圏やコミュニティ(トークンエコノミー(※2))を形成する動きが国内で見られています。
当社グループがミッションとして掲げている「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現には、エコシステム社会の構築が必要だと考えています。
エコシステム社会には、社会課題の解決と当事者意識・コミュニティ醸成を同時獲得する必要があり、web3関連技術を応用することが有効と考えています。
新子会社「AMIDAO 株式会社」は、web3関連技術を応用して、上記に資するトークンエコノミーの設計・開発を行います。
また、加速・複雑化する事業環境の変化に対応し、エコシステム社会を構築するためには、同じ価値観・ビジョンを持つクリエイティブ人財、基盤・アプリ開発等のデジタル人財が不可欠です。
新子会社「AMIDAO株式会社」は、良質な人財・経営資源等が集まり、共創するメカニズムとして、プロジェクト毎に自立分散的な共創の場を創出します。
※1:ブロックチェーンを用いて発行された暗号資産全般のことを指す。また、広義では、何か価値あるものと交換できる引換券のことで、私たちが普段生活の中でよく利用するポイントサービスもトークンの一種。
※2:暗号資産などのトークンによる新しい経済圏のことを指す。特定の範囲や対象のみで使用可能なトークンを介して独自の経済圏を構築することで、トークン配布者が意図した経済活動の推進を期待することができる。
補足
次世代インターネット技術「Web3(ウェブスリー)」
GAFAM (Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)などの特定企業に個人情報が集中している現状(WEB2.0)から、ユーザー主体で情報が分散管理される世界(WEB3.0)に移行していくと言われています。

※参考:Coincheck
DAO(自律分散型組織)
DAOとは、特定の所有者や管理者が存在せずとも、事業やプロジェクトを推進できる組織を指す言葉です。正式名称はDecentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)となっており、その頭文字を取ってDAOと呼ばれています。
組織の意思決定はコミュニティの投票によって自動的に集計および実行が成されるために民主制や情報の透明性が高い組織とされています。

※参考:Coincheck
同社が新たなインターネット技術を使って、どのような世界を創り出して行くのか注目したいと思います。
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