
産業廃棄物処理に用いられるマニフェスト伝票の中でも、マニフェストA票は産業廃棄物が適切に処分されたかを確認する上で大切な伝票です。
マニフェストA票には記載事項や保管義務、紛失時の対応など事前に把握しておくべき点がいくつもあります。
本記事ではマニフェストA票の記載事項や運用の流れ、紛失時の対応などについて詳しく解説します。
目次
マニフェストA票とは

マニフェスト伝票は7枚もしくは8枚の複写式になっています。
このうちA票は産業廃棄物の排出事業者が保管する伝票です。排出事業者は収集運搬業者に産業廃棄物引き渡し時にマニフェスト伝票を交付して、A票に産業廃棄物の受領サインをもらいます。
その後、A票をマニフェスト伝票から切り取り保管しましょう。
保管したA票は、最終的に産業廃棄物が適切に処分されたかを確認する際に用いられます。収集運搬業者から返送されたB2票、処分業者から返送されたD票、E票をA票と照らし合わせることで、正しく処分されたかを確認可能です。
処分状況を確認する際は以下の点をチェックしましょう。
● 処分が完了した年月日が記載されているか
● 処分が行われた場所が記載されているか
● 処分が行われた場所は契約書に記載された場所と同様か
● B2票、D票、E票は期限内に返送されているか
B2票、D票の返送期限は交付から90日、E票は交付から180日以内が期限です。しかし、作業を完了したらその日から10日以内には返送しなければならないため、どちらの期限も守られているかを確認する必要があります。(※)
※出典:公益社団法人 全国産業資源循環連合会「マニフェストの管理運用」,
https://www.zensanpairen.or.jp/disposal/manifest/management/,(入手日付2023-02-13).

マニフェストA票の書き方
マニフェスト伝票には次の3種類があります。
● 直行用(事業系)マニフェスト
● 建設系廃棄物マニフェスト
● 積替保管用マニフェスト
それぞれにマニフェストA票がありますが、記載すべき項目は異なります。
直行用(事業系)マニフェストの書き方
7枚の複写式である直行用(事業系)マニフェストにおけるA票の法定記載事項は次のとおりです。
- 管理票を交付した年月日と交付番号
- 運搬もしくは処分を委託した業者の氏名もしくは名称、住所
- 産業廃棄物を排出した事業場の名称もしくは所在地
- マニフェスト伝票を交付した担当者の氏名
- 産業廃棄物の種類
- 運搬もしくは処分を受託した業者の住所
- 運搬先の事業場の名称と所在地、運搬を受託した業者が産業廃棄物の積替えもしくは保管する場合は、積替えもしくは保管を行う場所の所在地
- 産業廃棄物の荷姿
- 産業廃棄物の最終処分を行う場所の所在地
- 中間処理業者(排出事業者が紙マニフェストを使用している場合)は、交付もしくは回付された産業廃棄物についての管理票を交付した業者の氏名もしくは名称、管理票の交付番号
- 中間処理業者(排出事業者が電子マニフェストを使用している場合)は、産業廃棄物について処分を委託した業者の氏名もしくは名称、登録番号
- 産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物もしくは水銀含有ばいじんなどが含まれていれば数量
これらの法定記載事項に加えて、産業廃棄物の名称、有毒物質があるか、処分方法についても記載しましょう。
基本的には契約内容に基づいて記載していきます。例えば産業廃棄物の荷姿、処分方法は次のように記載します。
● 産業廃棄物の荷姿:バラ積み
● 処分方法:圧縮
記載した内容が契約内容と相違がないか、交付前に再度確認しておきましょう。
建設系廃棄物マニフェストの書き方
建設系廃棄物マニフェストは収集運搬業者の情報を複数記載可能です。建設系廃棄物マニフェストで記載すべき項目は次の通りです。
● 管理票を交付した年月日
● 排出事業者の住所・氏名もしくは名称・電話番号
● 排出場所の住所・現場名・電話番号
● 排出する廃棄物の種類と数量
● 収集運搬業者の住所・氏名または名称・電話番号、積替保管があるかないか、運搬車両の情報(2箇所記載)
● 運搬先となる事業所の住所・名称・電話番号・処分方法
● 処分業者の住所・氏名または名称・電話番号
● 運搬業者の会社名・作業者名
上記に加えて、委託契約を交わしている際に選択する欄、積替保管が発生する場合に記載する欄もあります。
積替保管用マニフェストの書き方
積替保管用マニフェストは、記載すべき項目は直行用(事業系)マニフェストとおおよそ同様です。しかし、運搬受託者と運搬先の事業場を記載する必要があります。
マニフェストA票からE票までの運用の流れ
7枚複写式の紙マニフェストはA票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票で構成されています。マニフェストに関わる事業者ごとに取り扱う伝票は異なります。
産業廃棄物の排出事業者はA票に必要事項を記載した後、産業廃棄物とともに収集運搬業者にマニフェストを交付する流れです。この際、A票は収集運搬業者からのサイン受領後、切り取らなければなりません。
収集運搬業者は産業廃棄物を処分業者まで運搬したら、B1票、B2票に処分業者のサインをもらいます。収集運搬業者はB1票を保管して、B2票を排出事業者に返送します。なお、返送は運搬完了から10日以内に行なう必要があるので注意しましょう。
処分業者は処分が完了したら所定欄に記載後、C1票を保管して収集運搬業者にC2票を送付します。
また排出事業者にD票、E票を送付します。最終処分まで行なっていればD票、E票を排出事業者に送付します。最終処分を委託していれば、最終処分終了後にE票を送付しましょう。
マニフェストを交付した排出事業者はすべての伝票が返送された上で、産業廃棄物が適切に処分されたかを確認します。
なお紙マニフェストでは各事業者が保管すべき伝票があります。各業者が保管すべき伝票は次の通りです。
事業者 | 保管する伝票 |
---|---|
排出事業者 | A票、B2票、D票、E票 |
収集運搬業者 | C2票 |
中間処分業者(処分受託の場合) | C1票 |
中間処分業者(処分委託の場合) | A票、B2票、D票、E票 |
最終処分業者 | C1票 |
マニフェストA票の保管義務
マニフェスト伝票のうち、A票は2011年の廃棄物処理法改正によって保管義務が生じました。保管期間は交付から5年間です。A票をはじめとして、保管義務があるマニフェスト伝票を保管しなかった場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられます。(※)
罰則を科せられないためにも、交付したマニフェスト伝票は正しく保管するようにしましょう。
※出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「措置命令と罰則」.
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/action/index.html,(入手日付2023-02-13).
マニフェストA票についてよくある質問
マニフェストA票についてよくある質問として、以下が挙げられます。
● マニフェストA票とは?
● マニフェストA票はどう書けばいい?
● マニフェストA票を紛失するとどうなる?
特にマニフェストA票は保管の義務があるため、紛失した際の対応はあらかじめ把握しておきましょう。
マニフェストA票とは?
マニフェストA票とは産業廃棄物の排出事業者が保管するマニフェスト伝票の一つです。排出事業者は産業廃棄物を収集運搬業者に引き渡した際に、A票に受領サインをもらいます。
収集運搬業者による受領サインが記入されたら、排出事業者はマニフェスト伝票からA票のみを切り取り保管します。
マニフェストA票はどう書けばいい?
マニフェストA票は直行用(事業系)マニフェスト、建設系廃棄物マニフェスト、積替保管用マニフェストで記載項目は異なります。
たとえば、直行用(事業系)マニフェストであれば以下などの記載が必要です。
● 管理票を交付した年月日と交付番号
● 運搬もしくは処分を委託した業者の氏名もしくは名称、住所
● 産業廃棄物を排出した事業場の名称もしくは所在地
● マニフェスト伝票を交付した担当者の氏名
建設系廃棄物マニフェスト、積替保管用マニフェストも処分する産業廃棄物の種類や排出事業者の住所などを記載します。
マニフェストA票を紛失するとどうなる?
マニフェストA票は交付から5年間保管する義務があります。しかしその間に紛失してしまう可能性も考えられます。マニフェストA票を紛失してしまったら、B1票をコピーして代用しましょう。
マニフェストA票に限らず、伝票を紛失してしまった場合、対応する別の伝票で代用します。
紛失してしまったからといって再交付は避けましょう。マニフェストは原則再交付が認められていません。マニフェストを再交付してしまうと1つの処分にマニフェストが2つ存在してしまうため、虚偽の交付をしたとみなされてしまう恐れがあります。
別伝票のコピーで代用可能とはいえ、マニフェスト伝票は紛失しないように適切な管理が求められます。そのため専用のスペースを確保したり、管理を担当する従業員を設けたりする必要があります。
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