【2025年最新】電子マニフェスト義務化の対象は?いつから?導入手順も解説

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産業廃棄物の排出事業者は処分業者に産業廃棄物の処理を依頼する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行し、適切に処理されたか否かを確認しなければなりません。

マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェストがありますが、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量によっては電子マニフェストでの交付が義務付けられています。

そこで本記事では、電子マニフェスト義務化の背景や対象業者、電子化するメリット、紙マニフェストとの違いなどについて解説します。あわせて電子マニフェストを導入する方法やよくある質問もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

電子マニフェストは義務化した?詳細を解説

結局のところ、電子マニフェストは義務化したのかそうでないのか、曖昧な理解のままになっている方もいるかと思います。まずは電子マニフェスト義務化の背景や対象業者、今後について説明していきます。

電子マニフェスト義務化の背景と詳細

電子マニフェストは、紙のマニフェストに代わるシステムとして1997年に制度化されましたが、その普及は長らく進んでいませんでした。普及が進まなかった背景には、紙マニフェストでの運用が慣習化していたことや、電子マニフェストを導入するための初期費用やシステム変更の手間などが挙げられます。しかし、2016年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事件を契機に、廃棄物処理の透明性確保と不適正処理の防止の必要性が強く認識されるようになりました。この事件では、食品廃棄物が不正に転売され、最終的に不法投棄されるという事態が発生し、社会問題となりました。このような事件が再発した場合、紙マニフェストでは関係者間の情報共有や行政機関による実態把握、原因究明に多大な時間と労力がかかってしまいます。迅速な対応と再発防止策の実施のためには、マニフェストの電子化による一元的な情報管理が不可欠であるという認識が高まりました。

この背景を受け、環境省は2013年度に普及促進検討会を設置し、2014年3月に「電子マニフェスト普及拡大アクションプラン」を策定。その後、2018年10月には「電子マニフェスト普及拡大ロードマップ」を改訂し、2022年度までに普及率70%を目指す方針を掲げました。この目標達成のため、2020年4月1日からは、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者に対し、当該事業場から生じる特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する場合、電子マニフェストの利用が義務化されています。この義務化により、廃棄物処理に関する情報の追跡が容易になり、不法投棄や不適正処理の抑止効果が期待されています。


DXE株式会社資料DL

電子マニフェスト義務化の対象

電子マニフェスト使用は産業廃棄物の排出事業者全体に義務化されているわけではありません。義務化の対象となるのは一部の排出事業者です。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の発生量が50トン以上の事業場から、特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の委託をする場合に電子マニフェストが義務化されています。

なお、義務化の対象となるのはあくまでも特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)であり、同事業所から出る産業廃棄物は紙マニフェストを使用しても問題ありません。

必ずしも全ての産業廃棄物の排出者、そして全ての産業廃棄物に関して電子マニフェストの使用が義務化されているわけではないことを把握しておきましょう。

参考:環境省「Q&A 電子マニフェスト使用の一部義務化等について」(入手日付2023-10-25)

電子マニフェスト義務化の今後

電子マニフェストは、2020年4月1日より一部の排出事業者に利用が義務付けられて以降、着実に普及が進んでいます。 2024年度の年間登録件数は約4,347万件にのぼり、年間総マニフェスト数を5,000万件とした場合の電子化率はおよそ86.9%と算出されています。 また、同年度の捕捉率(産業廃棄物の委託処理量に対して電子マニフェストで把握されている割合)は約64.5%に達しています。 国は2030年までに捕捉率75%を目標に掲げており、今後も電子マニフェストの普及拡大が見込まれます。 将来的には、すべての産業廃棄物で電子マニフェストの利用が当たり前になる可能性もあります。

参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「登録件数・電子化率」(入手日付2025-10-31)

電子マニフェストにするメリット3選

電子マニフェストにする主なメリットは、以下の3つです。それぞれの詳細を紹介していきます。

  • 業務効率化が望める
  • 管理が楽になる
  • コスト削減につながる

業務効率化が望める

電子マニフェストにより既存の業務をオンラインで行うと、業務効率化が望めます。

例えば、産業廃棄物管理票交付等状況報告をする場合、紙マニフェストでは都道府県・政令市に事業者自ら報告しなければなりません。一方、電子マニフェストの場合は、情報処理センターが報告してくれるため、事業者が報告する必要がありません。

管理が楽になる

管理が楽になる点も、マニフェストを電子化するメリットです。

紙マニフェストの場合、交付したマニフェストA票に加えて、収集運搬業者および処理業者より送付されたB2票、D票、E票を5年間保存しなければなりません。電子マニフェストなら情報処理センターで5年分保存されるので、事業者が管理する必要はありません。

参考:公益社団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「紙マニフェストとの運用比較」(入手日付2023-10-25).

コスト削減につながる

紙マニフェストの場合、貴重な経営資源や人件費をマニフェスト作成に割かれることになります。ここで発生する時間的・金銭的コストは、無視できるものではありません。

電子マニフェストを導入すれば、マニフェスト作成にかける時間を削減でき、本来集中すべき業務に当たることができます。

紙マニフェストにメリットはある?

ここまで電子マニフェストのメリットを見てきましたが、紙マニフェストにもメリットはあります。

例えば、紙マニフェストの交付には特別な環境やシステムが必要ないので、パソコンやデジタル機器に慣れていない人でも問題なく運用できます。アナログで運用できるので、システムトラブルにより業務が停止する恐れもないといえるでしょう。

一方で、紙マニフェストでは管理が煩雑になり、記入漏れや虚偽記載の可能性は高まります。加えて紛失するリスクがあったり、管理や報告に関する業務が増えたりするなどのデメリットもあるので、電子化を検討するのもおすすめです。

電子マニフェストを導入する方法を紹介

電子マニフェストを導入する流れは、以下のとおりです。

  1. パソコンやインターネット環境を用意する
  2. 排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が加入しているか確認する
  3. 日本産業廃棄物処理振興センターへの加入単位と料金を設定する
  4. 日本産業廃棄物処理振興センターへの加入手続きをする

上記の流れを踏んで、日本産業廃棄物処理振興センターの電子マニフェストシステム「JWNET」が利用できます。

電子マニフェストに関するよくある質問

ここからは、電子マニフェストに関するよくある質問を7つ見ていきましょう。

電子マニフェストの義務化はいつから?

電子マニフェストの義務化は、2020年4月1日から一部義務化が定められました。「前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の発生量が50トン以上」となっているので、実質2018年度からの実績を基に判断されています。

なぜ電子マニフェストは普及しないの?

2023年10月時点での電子化率は約79.9%(年間総マニフェスト数=50,000,000件換算)で、2024年度の年間登録件数は約4,347万件。毎年電子化率は増えていっている状況です。「なぜ電子マニフェストに切り替えていない事業者がいるのか」についてはいくつかの理由が考えられますが、主には以下のとおりです。

  • なんとなく難しそうだから
  • 紙と電子に分けて管理する別の業務が発生するから
  • 電子マニフェストのメリットを理解しきれていないから

電子マニフェストを導入すると先述したようにさまざまなメリットがあるので、ぜひ導入をご検討ください。

参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)各種統計・ニュースレター(2023年10月度/2023年11月度の普及状況),「電子マニフェスト統計情報(2024年度版、PDF)」— 年度別登録件数の集計(2024年度:43,473千件等)

マニフェストは排出場所ごとに必要?

マニフェストは、排出場所ごとに発行することが定められています。また産業廃棄物の種類ごとにもマニフェストの発行が必要となる点は把握しておきましょう。

電子マニフェストの使い方は?

電子マニフェストを使うには、まず加入者番号とパスワードを入力してログインします。次に、収集運搬業者設定や処分業者設定、廃棄物の種類設定などの基本設定を行います。委託先の設定を行う際は、加入者番号と公開確認番号が必要です。あらかじめ、収集運搬業者と処分業者に確認しておきましょう。

マニフェストを登録する際は、排出情報や産業廃棄物情報、収集運搬業者、処分業者など必要な事項を記入してください。

紙マニフェストの方が取り締まりが厳しいって本当?

紙か電子かに関わらず、マニフェストの取り締まりは強化されています。マニフェストの記入漏れや虚偽記載などの不備が取り締まり強化の主な原因とされています。

記入漏れや虚偽記載をしてしまわないよう、そして万が一起こってしまった際に迅速に解決できるよう、マニフェストを電子化して管理しやすい体制を整えておくのが重要です。

電子マニフェストの義務化は建設業も対象?

電子マニフェストの義務化は、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の発生量が50トン以上の事業場から出る特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の委託をする場合が対象となっています。

建設業だから義務化されるというわけではなく、あくまでも上記の条件に適合する際に義務となる点を把握しておきましょう。

電子マニフェスト義務化の対象なのに利用しなかった場合の罰則は?

電子マニフェスト義務化の対象なのに利用しなかった場合、排出事業者および処理業者には刑事処分(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が処されます。

不適正処理が行われた場合は、都道府県から措置命令が下される可能性もあり、社会的信用を失う可能性があるので、対象事業者の方は必ず電子化しましょう。

参考:公益社団法人 日本産業廃棄物処理振興センタ「措置命令と罰則」(入手日付2023-10-25)

電子マニフェストならDXE Station

本記事では、電子マニフェストの義務化について対象事業者や背景、メリット、導入方法などをご紹介しました。電子マニフェストの対象となる事業者はもちろん、管理コストを抑えたい、業務効率を上げたいなどの希望がある事業者の方は、ぜひ導入してみましょう。

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