
産業廃棄物の排出事業者は、廃棄物の処理を業者に委託した場合、マニフェスト伝票を交付して廃棄物が正しく処理されているかを把握する必要があります。
マニフェスト伝票は排出事業者から収集運搬業者、処分業者へ交付されますが、それ以外にも定期的に自治体に報告しなければなりません。
本記事ではマニフェストの報告先について、報告に必要な事項などと併せて詳しく解説します。
目次
マニフェストはどこに報告(提出)するのか?

産業廃棄物の排出事業者は、事業所を管轄する都道府県知事などにマニフェストの交付状況について報告をする必要があります。事業所を管轄する自治体の産業廃棄物を担当する部署に報告書を提出しましょう。
産業廃棄物を排出した事業所が複数ある場合は、事業所ごとに管轄自治体に報告書を提出する必要があります。
なお、産業廃棄物を担当する部署名は自治体によって異なります。例えば東京都であれば産業廃棄物対策課、大阪府であれば循環型社会推進室産業廃棄物指導課が産業廃棄物について担当している部署です。
提出先の窓口は、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)のホームページからも確認できます。
なおマニフェストの報告書を提出する義務があるのは、紙マニフェストを使用しているケースのみです。電子マニフェストを使用している場合は、マニフェストの報告書を提出する必要はありません。
報告を怠ると罰則を科せられる
マニフェストについての報告を怠ると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられます。(※)
そのため、紙マニフェストを使用しているのであれば必ず事業所を管轄する自治体に報告書を提出するのを忘れないようにしましょう。
※出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター.「措置命令と罰則」.
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/action/index.html,(入手日付2023-02-13).

マニフェスト報告の概要
マニフェストは産業廃棄物の排出事業者だけではなく、収集運搬業者、処分業者も取り扱っています。しかし、マニフェストについての報告義務があるのは排出事業者のみです。
収運業者や処分業者は廃棄物処理法上の報告義務はありませんが、都道府県等の自治体が要綱等により、収集運搬又は処分に関する実績報告を求めています。
排出事業者は、前年度の4月1日から3月31日までに交付したマニフェスト伝票についての報告書を提出します。提出頻度は年に1回で、提出期限は毎年6月30日までです。(※)
なお、同期間内に1枚でもマニフェスト伝票を交付しているのであれば、報告の義務があります。
※出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター.「マニフェスト交付等状況報告書」.
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/report/index.html,(入手日付2023-02-13).
報告書の記載事項
マニフェストの報告書に記載する事項は次の通りです。
● 排出事業者の名称・住所・電話番号
● 排出事業者が行なっている事業の業種
● マニフェスト伝票を交付した産業廃棄物の種類・排出量(トン)・交付した枚数
● 収集運搬業者の許可番号・氏名もしくは名称
● 運搬先の住所
● 処分業者の許可番号・氏名もしくは名称
● 処分場所の住所
記載事項から分かる通り、報告書では誰にどのくらいの産業廃棄物を委託したかが判断できる内容である必要があります。
収集運搬業者・処分業者の許可番号は10桁もしくは11桁
マニフェスト伝票の報告書に記載する、収集運搬業者、処分業者の許可番号とは、都道府県知事から交付された番号です。許可番号は10桁もしくは11桁で構成されています。
排出事業者が収集運搬業者、処分業者に業務を委託する際、許可証の写しを受け取る必要があるため、許可番号が分からなかった場合は、契約の際に受け取った許可証の写しを確認しましょう。
未返送のマニフェストも報告対象
産業廃棄物の排出事業者はマニフェスト伝票を収集運搬業者、処分業者に交付します。
収集運搬業者、処分業者は、委託された業務が終了したらマニフェスト伝票の一部を排出事業者に返送しなければなりません。
返送する期限は定められていますが、場合によってはマニフェスト伝票の報告書を提出するまでに返送されない可能性があります。
このような未返送のマニフェストも報告の対象となるので、漏らさず報告しましょう。
運搬先住所は処理施設の住所を記載する
運搬先住所は収集運搬業者の所在地を記載するわけではありません。運搬先住所は産業廃棄物を処理する施設の住所を記載します。
処理する施設の住所は収集運搬を委託する際に必要な情報なため、契約書に記載されています。
もし住所が不明であれば、契約書を確認してみましょう。
電子マニフェストが報告不要な理由
マニフェストの報告は紙マニフェストを使用している場合のみです。先述の通り、電子マニフェストを使用しているのであれば報告は不要です。
電子マニフェストのみが報告不要な理由は、電子マニフェストの仕組みにあります。電子マニフェストは運用組織であるJWセンターが、排出業者が1年間に交付したマニフェストのデータを自治体に提出してくれます。
なお電子マニフェストと紙マニフェストを併用した場合、排出事業者は電子マニフェスト分の報告は不要ですが、紙マニフェスト分は報告しなければなりません。
電子マニフェストとは
電子マニフェストとは紙でやりとりしていたマニフェストを電子化したマニフェストの仕組みです。電子マニフェストはJWセンターが情報処理センターとして運営していて、利用するには電子マニフェストシステム(JWNET)に加入する必要があります。
電子マニフェストは排出事業者だけがJWNETに加入すれば利用できるわけではありません。取引している収集運搬業者、処分業者もJWNETへの加入が求められます。
電子マニフェストを利用することで次のようなメリットが生まれます。
● 業務の効率化
● 保管業務・スペースが不要
● 記入ミス防止と法令順守
● スピーディな情報確認
電子マニフェストは業務の効率化が期待できる
紙マニフェストは必要事項の記入や収集運搬業者、処理業者とのやり取りなど、事務作業に多くの時間が発生してしまいます。
一方、電子マニフェストは入力操作がシンプルな上に、JWNET上で処理の進捗が確認できるため、事務作業の軽減と業務の効率化が期待できます。
マニフェストの保管が不要
紙マニフェストは年に1回、報告書を提出する必要があるのに加えて、5年間の保管が義務付けられています。そのためマニフェストの保管に事業所のスペースを割かなければなりません。
電子マニフェストは情報処理センターが保管してくれるため、管理や保管場所の確保にかかる手間を省けます。
記入ミス防止と法令遵守につながる
電子マニフェストの入力必須項目はシステムで管理されており、手で記入するよりも入力ミスを防止できます。
また、電子マニフェストのデータは排出事業者、収集運搬業者、処理業者が相互に確認できるため、不正の発生を未然に防ぎ法令を遵守した運用が可能です。
スピーディな情報確認
電子マニフェストの情報は情報処理センターに保管されています。そのため、契約情報や過去の廃棄物処理についてのデータなどをすぐにダウンロード可能です。
紙マニフェストでは、過去の膨大なマニフェストから該当する情報を探し出す際に時間がかかってしまいますが、電子マニフェストであればスピーディに情報を確認できます。
電子マニフェストを活用すれば報告書の提出は不要
紙マニフェストのルールとして、前年度の4月1日から3月31日までに交付したマニフェスト伝票は、事業所を管轄する自治体に報告書として年に1回提出しなければなりません。しかし電子マニフェストを運用していれば、報告書の提出や5年間のマニフェストを保管する必要が無くなります。
電子マニフェストで業務効率化を図るなら、「DXE Station」の活用がおすすめです。同サービスは電子マニフェストの代行起票やクラウドでのマニフェスト一元管理などを行っており、電子マニフェストに関する業務のさらなる効率化をサポートします。

収運業者のお客様向け

収運・処分業者のお客様向け

収運業者と処分業者をワークフローでつなぐ
クラウドで収集運搬から
処分完了までの業務を一元化!
搬入予定の確認や、
二次マニフェストの
紐づけが簡単に!