ばいじんとは?具体例や3つの処理方法を簡単に解説

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産業廃棄物は法律により、明確に種類が定められており、「ばいじん」もそのうちの一つです。ばいじんについて「どのような廃棄物が該当するのか」「具体的な種類にはどのようなものが挙げられるのか」「処理方法が分からない」などの悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

ばいじんを適切に処理するには、ばいじんの概要や具体例、処理方法などを正確に把握しておくことが大切です。

そこで本記事では、ばいじんの概要や3つの処理方法をご紹介します。事業活動に伴いばいじんが排出される事業場に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。

ばいじんとは?

ばいじん(煤塵)とは、ものを燃やしたときに発生する煙やすす、ちりなどの中に含まれる微粒子の総称です。「廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」と政令により指定された、産業廃棄物の一種です。

正確にはばいじんは「大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設または産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであって、集じん施設によって集められたもの 」だとされています。これらに該当する施設には、例えば以下が挙げられます。

  • ボイラー:燃焼能力 50リットル/時 以上
  • ガス発生炉・加熱炉:原料処理能力 20トン/日、燃焼能力 50リットル/時 以上
  • 石油ガス洗浄装置に付属する硫黄回収装置の燃焼炉:燃焼能力 6リットル/時 以上
  • 【カドミウム系顔料または炭酸カドミウム製造用】乾燥施設:容量 0.1立方メートル以上
  • 【硝酸の製造用】吸収施設、漂白施設、濃縮施設:硝酸の合成、漂白、濃縮能力100kg/時 以上

上記は一例なので、施設とその規模要件の詳細が知りたい方は環境省の公式Webサイトをご確認ください。

環境省「大気汚染防止法の対象となるばい煙発生施設」

ばいじんは人体と環境に悪影響を及ぼす恐れがある他、産業廃棄物に分類されるため、一般廃棄物と分けて処理しなければなりません。また、重金属類・1,-4ジオキサン・ダイオキシン類を一定濃度以上含むものは特定管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)に分類されるため、さらに厳格に処理する必要があります。

ばいじんはこうした基準に基づき処理しなければならないので、事業活動に伴い発生するすすやちりが、ばいじんに該当するか判断が難しい場合は所轄の自治体に確認しましょう。

参考:環境省. https://www.env.go.jp/air/osen/law/t-kise-0.html


DXE株式会社資料DL

ばいじんの具体例

ばいじんの具体例には、石炭灰や電気炉ダストなどが挙げられます。それぞれの概要や特徴などを詳しく見ていきましょう。

石炭灰

石炭火力発電所では、石炭を燃焼して発生したエネルギーを、電気エネルギーに変換しています。このとき発生する副産物が、石炭灰です。

石炭灰とは、主に石炭火力発電ボイラーで微粉砕された石炭が燃焼された際に発生する副産物です。「クリンカアッシュ+フライアッシュ」とも呼ばれます。石炭火力発電所をはじめとする電気事業者以外にも、化学工業・製糸業・窯業土石業・鉄鋼業などで石炭炭が排出されます。

石炭灰は、採取される設備の違いで「クリンカアッシュ」と「フライアッシュ」の2種類に分類可能です。

クリンカアッシュは、ボイラー底部に溶融固化して落下した多孔質な灰の塊を指します。粉砕し粒度を調整しており、化学的に安定しています。

孔隙構造により、締固めに対する支持力(CBR値)が安定しているため、排水および通気性能が良好で、保水力が高い点が特徴です。

フライアッシュは、石炭を燃やした際に燃焼ガスとともに浮遊する灰を電気式集じん器で集めた球状の微粒子です。主成分は、シリカとアルミナです。コンクリートの混和材に用いると、流動性が高まる他、水和熱を低減できたり耐久性を高めたりする効果を得られます。

電気炉ダスト

電気炉ダストとは、鉄スクラップを電気炉で溶解する際に発生するばいじんの一種です。鉄の再溶融時に発生する微粉末を、集じん器で集めます。環境保護の観点から、電気炉ダストを自社内で廃棄することは許可されておらず、専門の中間処理業者に処理を依頼する必要があります。

電気炉ダストには、亜鉛をはじめとする金属が多く含まれており、再資源化の貴重な資源です。亜鉛の回収には選択塩化法などの手法が用いられており、電気炉ダストの処理を通じて回収される亜鉛は、国内亜鉛市場の30〜40%を占めるほどです。

粉じんとの違い

粉じんとは、物の破砕や堆積により発生、または飛散する物質の総称です。粉じんが発生する業種や作業には、以下が挙げられます。

  • ガラス製造
  • 陶磁器製造
  • 革製品製造
  • 鉱物を掘削する作業
  • い草加工
  • 刃物製造

粉じんは大気汚染防止法により、人体に被害を与える可能性のある「特定粉じん(主に石綿)」とそれ以外の「一般粉じん」に分類されます。一般粉じん発生施設や特定粉じん発生施設の設置者は、法令を遵守する義務があり、特に特定粉じんの場合は工場・事業場の敷地境界の大気中の濃度基準を満たすことが必要です。

いずれも産業廃棄物としての管理が必要となる「ばいじん」と「粉じん」は混同されがちですが、発生源に違いがあります。両者を見分けるポイントは、「焼却により生じたかどうか」です。物を焼却させて生じたものをばいじん、それ以外の飛散する物質は粉じんだと理解しておくとよいでしょう。

燃え殻との違い

燃え殻とは、物を焼却した際に発生する焼却残さです。事業活動に伴い発生したものは、産業廃棄物に分類されます。燃え殻の具体例は、以下のとおりです。

  • 石炭がら
  • コークス灰
  • アルミ灰
  • 重油燃焼灰
  • 重金属含有焼却灰

ばいじんと燃え殻はいずれも、焼却活動に伴い発生するので判断に迷うケースもありますが、発生源により分別が可能です。

ばいじんは焼却後に空中に飛散した粒子状のすすやダストを、集じん機で集めたものを指します。一方燃え殻は、物を燃やした際に焼却炉に残る燃え殻を指します。焼却活動により生じる副産物がばいじんで、燃やした物質そのものが燃え殻と理解しておくとイメージしやすいでしょう。

ばいじんの3つの処理方法

ばいじんには、以下に挙げる3つの処理方法があります。

  • 管理型埋立処分場で埋め立て処分する
  • 安定化処理を施してから処分する
  • リサイクルする

それぞれの処理方法の特徴や、実施方法などを詳しくご紹介します。

1.管理型埋立処分場で埋め立て処する

ばいじんは、フレイキブルコンテナなどに収納して管理型埋立処分場で埋立処分されます。

管理型埋立処分場とは、最終処分場のうち、遮断型処分場・安定型処分場で処分可能な産業廃棄物以外の産業廃棄物と、一般廃棄物を埋め立てる処分場です。管理型埋立処分場で処分されるものは、有害物質の濃度が判定基準値に達したばいじんや燃え殻、汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、鉱さい、動物のふん尿などです。

人体や環境に悪影響を与える恐れがある他、有害物質の溶出や廃棄物の分解に伴いガスや汚水が発生するリスクがあります。そのため管理型埋立処分場では、廃棄物の流出防止用の貯留構造物や、地下水汚染防止用の遮水設備、浸出水集水設備、発生ガス排除設備などが備えられています。

なお最終処分場は、埋め立て可能な廃棄物の種類により安定型・遮断型・管理型に分類可能です。

安定型埋立処分場では、廃プラスチック類・ゴムくず・金属くず・ガラスくず・コンクリートくずおよび陶磁器くず・がれき類など性質が安定している産業廃棄物のうち、有害物質が付着していないものが埋め立てられます。遮断型埋立処分場で埋め立てられるのは、有害物質の濃度が判定基準値未満の産業廃棄物です。判定基準値未満といっても、悪影響を及ぼすことが懸念されるため、外部環境と隔離するための構造が設けられる他、安定化処理が施されるケースもあります。

2. 安定化処理を施してから処分する

安定化処理とは、ばいじんを無害化させる処理です。安定化処理には、以下に挙げる方法があります。

  • コンクリート固化
  • キレート剤による固化
  • 溶融

それぞれの安定化処理の概要や特徴を詳しく解説します。

コンクリート固化

コンクリート固化とは、有害廃棄物の最終処分に際して実施される処理方法の一種です。ばいじんをセメントまたはアスファルトと混合し、コンクリート内に密閉して外部環境への溶出を防ぎます。ばいじんは粒子が細かく、飛散しやすい特徴がありますが、コンクリート固化処理を施すことで飛散を抑制できます。

コンクリート固化施設はランニングコストや設置費用が安く、処理能力も高いため一度に多くの廃棄物を固化できる点がメリットです。一方でセメント添加により、廃棄物容量が増大するため、最終処分場の容量を大きく消費する問題を抱えています。

キレート剤による固化

ばいじんはキレート剤などの薬剤を加えて、無害化処理を行うケースもあります。キレート剤とは、金属イオンと結合し錯体を形成することで金属イオンの安定化に寄与する薬剤です。

この手法ではキレート剤を用いて、有害物質を固め内部に封入します。固化処理を施した後は溶出試験を実施し、基準値を満たしたものが最終処分場で埋め立てられます。

キレート剤による固化処理での注意点は、キレート剤を過剰に使用すると、処分場から溶出する水質を悪化させる可能性があることです。キレート剤そのものは人工に合成された薬剤であり、微生物による分解は困難とされています。

溶融

溶融による無害化処理では、高温でばいじんを溶かし液体状にします。ばいじんを無害化させると同時に、体積を削減できる点がメリットです。また溶融後に残ったスラグは、土木資材や建築資材の原料に用いられるケースもあります。

廃棄物の容量削減、リサイクルによる環境負荷の低減の2つの観点でメリットの大きい無害化処理方法です。

3. リサイクルする

ばいじんは、リサイクルも可能です。環境省が公表している資料「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」によると、令和3年度は85%のばいじんが再生利用されています。これは産業廃棄物の中で、がれき類(96%)・金属くず(96%)・動物のふん尿(95%) ・鉱さい(92%)に次ぐ高い水準です。

具体的には、ばいじんは以下の目的や用途でリサイクルされています。

  • 土木資材・建築資材
  • 金属回収(亜鉛など)
  • 盛土材や埋め戻し材、路床材

参考:環境省「令和4年度 事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」

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