
産業廃棄物の収集運搬では逆有償取引として知られる到着時有価物の場合でも、マニフェストの作成・交付が求められます。
具体的にどのような産業廃棄物が該当するのか、またマニフェストの作成・交付の方法を把握できているでしょうか。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の規定に違反すると罰則が科されるため、正しい理解が必要です。
本記事では、到着時有価物の概要やマニフェストの交付の有無、問題点、交付方法などをご紹介します。到着時有価物の処分やマニフェスト作成にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
到着時有価物とは?
有価物を輸送する際、輸送コストが売却代金を超えるケースがあります。この場合、排出先から処分先までの輸送中は産業廃棄物、処分先で引き渡された時点で有価物として取り扱われるものが到着時有価物です。逆有償取引とも呼ばれます。例えば、売却代金が1万円、輸送コストが1.5万円のように、排出事業者側に経済的損失があるケースなどです。
到着時有価物を理解する上で、有価物と産業廃棄物の違いを理解しておくことは重要なので、簡単に解説します。
有価物とは、市場で価値を持ち、売買や再利用できるものを指します。一方で産業廃棄物とは、事業活動に伴い排出される廃棄物のうち、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で定義された20種類の廃棄物です。環境や人体への影響が懸念されるため、適切な処理が必要となります。

到着時有価物にマニフェストの交付は必要?
マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、産業廃棄物を処分する際に用いられる伝票です。産業廃棄物の種類や重さ、収集運搬業者名、処分業者名を記載する必要があり、産業廃棄物が最後まで正しく処理されたかを確認する目的があります。
到着時有価物を取り扱う際、排出先から処分先までの輸送中は産業廃棄物として扱われるため、原則マニフェストの交付が必要です。電子マニフェストと紙マニフェストで記載すべき項目や内容が異なるので、詳しくは後述します。
「後々有価物になるから、不要だろう」などと判断せず、忘れずにマニフェストを交付しましょう。産業廃棄物処理に関する脱法行為や不適切処理、不法投棄を防ぐため、行政は取引が有償か逆有償(到着時有価物)かを重要視しています。
到着時有価物の問題点
到着時有価物の問題点には、排出事業者が排出物を産業廃棄物ではなく有価物と認識した場合に、トラブルが生じやすくなる点が挙げられます。この場合、産業廃棄物として取り扱われず正しく処理されません。排出先から処分先までの輸送中は産業廃棄物であるため、収集運搬委託契約やマニフェストの発行が必要です。
市況の変動や運搬中の積載量の減少により、輸送費や処理コストが売却金額を超える場合があります。従って、これらのリスクを事前に把握した上で、信頼できる運搬業者との契約が重要です。産業廃棄物が適切に処理されない場合、排出事業者も行政処分や刑事罰の対象となるので注意してください。
到着時有価物のマニフェストの交付方法
到着時有価物のマニフェストの交付方法を、紙マニフェストと電子マニフェストの場合に分けてご紹介します。
紙のマニフェストの場合
紙マニフェストを利用する際、排出事業者が交付するマニフェスト伝票の種類と流れは以下の表の通りです。
マニフェスト伝票の種類 | 流れ |
---|---|
A票 | 交付後、排出事業者の控え |
B1票 | 運搬完了後、収集運搬業者の控え |
B2票 | 運搬完了後、収集運搬業者が排出事業者に返送 |
C1票 | 処分完了後、処分業者の控え |
C2票 | 処分完了後、処分業者が収集運搬業者に返送 |
D票 | 処分完了後、処分業者が排出事業者に返送 |
E票 | 最終処分終了後、処分業者が排出事業者に返送 |
到着時有価物は、運搬後は産業廃棄物ではなくなります。そのため、交付する必要があるのはA票・B1票・B2票の3つであり、C1票以降は必要ありません。
法的義務はありませんが、マニフェストを管理する際、処分受託者の欄に有価物の引き取り側の情報を記入しておくといいでしょう。こうすれば、その取引が到着時有価物に関するものだと把握しやすくなり、管理の利便性が向上します。
電子マニフェストの場合
電子マニフェストの場合も、先述した紙マニフェストと同様に、A票・B1票・B2票のみが必要になります。電子マニフェスト(JWNET)の場合、「報告不要業者設定」を行うことで収集運搬や処分の終了報告が不要となります。
到着時有価物の電子マニフェストを登録する際は、「処分業者」欄に、事前に登録した「報告不要業者」を選択してください。運搬終了報告が行われた時点で自動的に処分と最終処分が完了したことになります。
なお電子マニフェストは、到着時有価物を自社運搬する場合、発行できない点に注意してください。これは、収集運搬終了報告や処分終了報告が不要となるため、マニフェストの発行自体が必要ないためです。
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