
建設現場などで排出された産業廃棄物を保管したり、収集運搬したりする際によく使用されるのがバッカンです。
本記事ではバッカンの概略や特徴、それぞれの現場に適したサイズや、産業廃棄物を保管するときの注意点などを詳しく解説します。バッカンの設置をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
バッカンとは?
バッカンとは産業廃棄物の保管・収集運搬の際に利用される「産廃コンテナ」の一種です。
産廃コンテナにはバッカンの他にも、布やポリプロピレン樹脂を使った袋状のフレキシブルコンテナバッグなどがありますが、バッカンは鉄製で強度が高いため、廃プラスチックや木くず、金属くず、石膏ボード、ガラス陶磁器の混合廃棄物などの保管に多く使用されています。
またバッカンには装具が取り付けられているため、固定して積み重ねたり、車両に搭載して運んだりすることも可能です。建設現場や解体現場など、大量の産業廃棄物を排出しやすい場所で使われるケースが多いです。
なお、バッカンはサイズの違いなどにより「脱着装置付きコンテナ」や「産廃ボックス」とも呼ばれることがありますが、事業者によって呼び分けが異なる場合もあり、バッカンという単語の定義が明確に定められているわけではないようです。
産廃コンテナの種類やそれぞれの特徴については「産廃コンテナとは?種類・サイズ・運用方法や注意点を解説」を参考にしてみてください。
バッカンの種類や特徴
一口にバッカンといっても、用途に応じたサイズや機能性を備えたものなど、各メーカーによってさまざまなものが作られています。
サイズは、縦×横×高さの実サイズとは別に容積の単位も併記されることが多く、㎥(立法メートル)もしくは立米(りゅうべい)と表されます。1立米=1㎥となり、縦1000mm×横1000mm×高さ1000mmの立方体に収まる量というのが基準です。
バッカンの容量と寸法の目安は、以下の表を参考にしてください。
バッカンの容量 | 縦 | 横 | 高さ |
---|---|---|---|
0.5立米 | 600mm | 1200mm | 600mm |
1立米 | 1000mm | 1000mm | 1000mm |
1.5立米 | 900mm | 1800mm | 900mm |
2立米 | 1000mm | 2000mm | 1000mm |
3立米 | 1800mm | 1800mm | 900mm |
4立米 | 1800mm | 1800mm | 1200mm |
6立米 | 900mm | 1900mm | 3500mm |
8立米 | 1900mm | 3600mm | 2000mm |
13立米 | 1900mm | 3600mm | 2000mm |
また、容積が同じでも、縦長のタイプや高さのあるタイプなど形が異なる場合があるため、設置する場所や排出される廃棄物などによって適したサイズを選ぶ必要があります。
加えて、機能性に関しても一般的な鉄箱タイプの他、扉付きのものや底が開くタイプのもの、回転フォークリフトに対応したもの、作業水抜き用の穴が空けられているものなど、豊富なバリエーションがあります。
中にはオーダーメイドを承っているメーカーもあるため、特定の廃棄物に特化したバッカンが必要な場合は検討してみるのも良いでしょう。
サイズ別にバッカンの用途を紹介
前述したように、バッカンには様々なサイズのものがあります。
産業廃棄物の排出量は現場によって異なりますが、1〜3立米のバッカンを利用しているケースが多いようです。1~3立米のものは、設置スペースがあまり取れない現場でも置きやすいでしょう。
また4〜8立米のものは、コンクリートくずや石膏ボード、鉄くずなど比較的重量のある廃棄物を排出する現場で使用されることが多いです。
また大量の排出物を保管する建設現場や解体現場などでは、13立米のサイズを使用することもあります。ただし、大容量のバッカンの使用を使用する際は、設置スペースや収集運搬ルートがしっかり確保されていることが条件です
大きすぎるバッカンを置くと設置面積を広く取ってしまいますが、反対に小さすぎると何度も収集運搬を繰り返す必要があるため、作業効率が悪くなることもあります。現場に適した容量のものを設置して、効率的な運用を心掛けましょう。
バッカンの使用方法・運搬方法を紹介
バッカンの使用方法・運搬方法は容量により異なります。小型・大型のバッカンそれぞれの使用方法を確認しておきましょう。
1〜3立米の比較的小さなバッカンは、一般的にトラックの荷台に運搬されます。実際に積み込む際は、クレーンやフォークリフトなどの機械を用います。
一方で大型のバッカンの場合は、アーム着脱装置のツメを使用してコンテナ車に引っ掛け、トラックの後部に積載する方法が一般的です。引き上げ時は、斜め上方向に持ち上げるため、広さを十分に確保するのはもちろん、高さにも十分な配慮が必要となります。
積み下ろし時には、バッカンを片側に傾けて引き上げるので、下部にローラーが取り付けられているタイプがよく使用されています。
バッカンで保管可能な産業廃棄物とは?
バッカンで保管可能な産業廃棄物かどうかは、以下を参考にするとよいでしょう。
- 形状が変化しない固形物
- 一度に大量に排出される廃棄物
- 非腐食性の物質
バッカンでは、形状が変化しない安定した固形物の保管が可能です。固形物は外部から圧力や衝撃、振動が加わっても形状が変化しにくく、漏れやこぼれのリスクが少ないため、バッカンでの保管に適しています。具体的な産業廃棄物には、金属くずやがれきくず、廃プラスチック類、木くずなどが挙げられます。
また、一度に大量に排出される廃棄物も、効率面からバッカンでの保管が適切です。排出現場にあるバッカンは一時的に廃棄物を保管し、満杯になると運搬車両で処理施設まで運ばれます。この一貫したプロセスは、特に大量に排出される廃棄物の保管に適しています。反対に少量ずつしか排出されない場合、満杯になるまでに時間がかかり、保管期間の長期化・運搬効率の悪化などの観点から適切とはいえないでしょう。
その他、非腐食性の物質の保管にもバッカンは使用可能です。基本的にバッカンは鉄製であるため、液体や酸性などの物質は鉄を腐食する可能性があり、漏れ出る恐れもあるので、廃油・廃酸などは保管しないようにしましょう。
バッカンで産業廃棄物を保管するメリット
バッカンで産業廃棄物を保管するメリットは、大量の産業廃棄物の保管から収集運搬までを一気通貫でできることです。満杯になったら、そのままトラックの荷台に載せて運べるため廃棄物の管理を効率化できます。
またバッカンは鉄製で強度が強いため、容器が壊れたり破れたりして廃棄物の流出や飛散が起こるのを防ぐのにも効果的です。廃棄物をそのまま置いておくよりも、整理された印象を与えるでしょう。
また前述したようにさまざまなサイズがあるため、現場の面積や排出量に合わせた対応ができるのもメリットといえます。廃棄物ごとの分別がしやすく数量管理も容易になり、リサイクル率の向上も期待できます。

バッカンで産業廃棄物を保管する際の注意点
バッカンを産業廃棄物の保管に使用する際には、以下のような点に注意しましょう。
- ・産業廃棄物の保管基準を守る
- ・バッカンで保管できない産業廃棄物もある
- ・バッカンを設置して問題ないかシミュレーションしておく
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
産業廃棄物の保管基準を守る
産業廃棄物は、悪臭や有害物質発生の原因となる可能性があります。そのためバッカンで保管する際も、廃棄物処理法で規定される保管基準を守らなければなりません。保管基準に違反すると改善命令の対象となるため、以下の保管基準を遵守しましょう。
- ・保管場所の周りに囲いを設置する
- ・産業廃棄物保管の旨と必要事項を記載した掲示板を設置する
- ・飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防止するための措置を行う
- ・公共水域や地下水汚染への対策を実施する
- ・害虫・害獣が発生するのを予防する対策を取る
- ・屋外で容器なしで保管する際の積み上げ高さ制限を守る
バッカンは上部が剥き出しの場合が多いため、設置場所を検討したり、防水タイプのコンテナシートで上部にカバーするなどの工夫が必要です。コンテナシートをゴムバンドなどでしっかり止めておくと、悪臭を放ったり雨水が侵入したりするのを防ぐだけでなく、外部からの投げ入れや盗難を防ぐ効果もあります。
参考:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター.「産廃知識 保管基準」 , (入手日付2023-12-10).
バッカンで保管できない産業廃棄物もある
鉄製のバッカンは腐食に弱い産廃コンテナです。そのため酸性の液体や物質は保管できません。中和処理がなされていないものや化学物質が付着したもの、廃油類、薬品や化成品などの容器も保管できないため注意しましょう。
バッカンには後部が観音開きになっているものもありますが、液体や泥状のものは流出する可能性もあります。流出リスクもしっかり考慮した上で、保管する廃棄物を選びましょう。
バッカンを設置して問題ないかシミュレーションしておく
廃棄物の種類や量を確認した上で、現場にバッカンを設置しても問題がないかどうかをシミュレーションしておくことも大切です。例えば、作業現場にバッカンを置けるスペースがあるか、設置した場合に現場での作業に支障が出ないかどうかなどを確認します。
バッカンは重量のある鉄製の箱なので、設置面に傷を付けてしまう恐れもあります。必要に応じて養生も検討してください。
バッカンに関するよくある質問
最後にバッカンに関してよく寄せられる質問に回答します。該当する疑問があれば参考にしてみてください。
バッカンの使い方とは?
建設現場や解体現場では一時的にバッカンを現場に設置して廃棄物を集め、ある程度溜まったところでバッカンを収集運搬車両に搭載し、中間処理施設へと運ぶ流れで運用されています。
なお車両に載せるとき、1〜3立米の小容量のバッカンではクレーンやフォークリフトを使用します。大容量のバッカンの場合は、専用のアーム着脱装置が取り付けられたコンテナシステム車両で運ぶことが可能です。
バッカンはレンタルできる?
一時的な工事やオフィスの移転など、自社でバッカンを保有していない排出事業者の方向けにバッカンのレンタルサービスがあります。あらかじめ収集運搬を依頼する事業者からバッカンをレンタルしておき、廃棄物が一定量溜まったら回収に来てもらう方法が一般的です。
また、一時的に追加のバッカンが必要になった収集運搬業者向けに貸し出しを行っている事業者もあります。貸し出しは一日単位や月極など各事業者によって異なるため、自社に適したサービスを探すのが良いでしょう。
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