マニフェスト伝票とは？各票ごとの流れ・入手方法を解説

産業廃棄物を処分する際はマニフェスト制度に従う必要があります。マニフェストを紙で運用する場合、マニフェスト伝票が必要になります。
本記事ではマニフェスト伝票について、流れや購入方法などを解説します。

マニフェスト伝票とは

マニフェスト伝票とは産業廃棄物管理票とも呼ばれ、マニフェスト制度において用いられる伝票を指します。マニフェスト制度とは産業廃棄物が排出された際に、排出事業者が廃棄物の行き先を把握して管理することを目的とした制度です。

産業廃棄物の排出事業者は、廃棄物処理の委託先である収集運搬業者、処分業者にマニフェスト伝票を交付します。ただしマニフェスト伝票を交付するためには、委託契約を結んでいる必要があります。委託契約が未締結にもかかわらずマニフェスト伝票のみを交付すると委託基準違反として、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいはそのどちらもが科せられてしまうので、必ず書面で事前の委託契約を結んでおきましょう。（※）

また委託契約を結んでいたとしても、マニフェスト伝票を交付せずに産業廃棄物を処分すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられます。（※）

※出典：公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「措置命令と罰則」.https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/action/index.html,(入手日付2023-02-13).

マニフェスト制度の目的

マニフェスト制度の目的は不法投棄の防止をはじめとして、産業廃棄物を正しく処理することです。そのため産業廃棄物を排出する事業者はマニフェスト伝票を委託先の収集運搬業者、処分業者に交付して、適正に処理しているかを把握する義務があります。

各マニフェスト伝票ごとの流れ

マニフェスト伝票には次のような種類があります。

● 直行用（事業系）マニフェスト伝票
● 建設系廃棄物マニフェスト伝票
● 積替保管用マニフェスト伝票

マニフェスト伝票は種類によって対応の流れが異なるので事前に把握しておきましょう。

直行用（事業系）マニフェスト伝票

直行用（事業系）マニフェスト伝票はA票からE票までの7枚の複写式になっています。排出事業者が交付する直行用（事業系）マニフェスト伝票は、種類ごとに流れが異なります。具体的には以下の通りです。

マニフェスト伝票の種類	流れ
A票	交付後の排出事業者の控え
B1票	運搬が完了後、収集運搬業者の控え
B2票	運搬が完了後、収集運搬業者が排出事業者に返送
C1票	処分完了後、処分業者の控え
C2票	処分完了後、処分業者が収集運搬業者に返送
D票	処分完了後、処分業者が排出事業者に返送
E票	最終処分終了後、処分業者が排出事業者に返送

建設系廃棄物マニフェスト伝票

建設系廃棄物マニフェストとは、建設工事で発生する建設副産物のうち廃棄物にあたるものを廃棄する際に用いられる7枚の複写式マニフェスト伝票です。
建設副産物とは、コンクリートやアスファルトの塊といった建設工事で発生する廃棄物を指します。建設系廃棄物マニフェスト伝票の流れは次の通りです。（※）

マニフェスト伝票の種類	流れ
A票	交付後の排出事業者の控え
B1票	収集運搬業者が1社の場合：収集運搬業者は処分業者からサインを受取った後に控えとして保管
	収集運搬業者が2社の場合：収集運搬業者（2）は運搬受託者欄にサイン後、収集運搬事業者（1）に返送。収集運搬事業者（1）は必要に応じてコピーして、排出事業者に返送
B2票	収集運搬業者が1社の場合：収集運搬業者は控えとしてコピーした上で排出事業者に返送
	収集運搬業者が2社の場合：中間処理業者は処分受託欄にサイン後、収集運搬業者（2）に返送。収集運搬業者（2）は必要に応じてコピーして、排出事業者に返送
C1票	処分完了後、処分業者の控え
C2票	処分完了後、処分業者が収集運搬業者に返送
D票	処分完了後、処分業者が排出事業者に返送
E票	最終処分終了後、処分業者が排出事業者に返送

積替保管用マニフェスト伝票

積替保管用マニフェスト伝票は、産業廃棄物を積替保管施設などに一度保管してから処分業者に持ち込む際に用いられます。積替保管用マニフェストは8枚の複写式です。

マニフェスト伝票の種類	流れ
A票	交付後の排出事業者の控え
B2票	第1区間の運搬終了後、その区間の収集運搬業者から排出事業者に返送
B4票	第2区間の運搬終了後、その区間の収集運搬業者から排出事業者に返送
B6票	第3区間の運搬終了後、その区間の収集運搬業者から排出事業者に返送
C1票	処分完了後、処分業者の控え
C2票	処分完了後、処分業者が収集運搬業者に返送
D票	処分完了後、処分業者が排出事業者に返送
E票	最終処分終了後、処分業者が排出事業者に返送

一次マニフェストと二次マニフェスト

産業廃棄物の排出事業者が処理を委託する際に交付するのが一次マニフェストです。一方で、中間処理業者が中間処理で発生した産業廃棄物の処理を委託する際に用いられるのが二次マニフェストです。

二次マニフェストでは、排出事業者から中間処分業者にマニフェスト伝票が交付されます。
また中間処分業者から最終処分業者にもマニフェスト伝票が交付されます。

マニフェスト伝票の種類	一次マニフェストの流れ	二次マニフェストの流れ
A票	交付後の排出事業者の控え	交付後の中間処分業者の控え
B1票	運搬が完了後、収集運搬業者の控え	運搬が完了後、収集運搬業者の控え
B2票	運搬が完了後、収集運搬業者が排出事業者に返送	運搬が完了後、収集運搬業者が中間処分業者に返送
C1票	中間処分完了後、中間処分業者の控え	最終処分完了後、最終処分業者の控え
C2票	中間処分完了後、中間処分業者が収集運搬業者に返送	最終処分完了後、最終処分業者が収集運搬業者に返送
D票	最終処分完了後、中間処分業者が排出事業者に返送	最終処分完了後、最終処分業者が中間処分業者に返送
E票	最終処分終了後、中間処分業者が排出事業者に返送	最終処分完了後、最終処分業者が中間処分業者に返送

二次マニフェストでは、最終処分完了後に最終処分業者から中間処分業者にD票、E票が返送される流れです。最終処分が完了したことを報告するD票、E票は、中間処分業者が排出事業者に返送します。

マニフェスト伝票の購入方法

マニフェスト伝票は全国の産業廃棄物協会、建設業協会で購入可能です。直行用マニフェスト、積替用マニフェストは産業廃棄物協会、建設系廃棄物マニフェストは建設業協会で購入します。

マニフェスト伝票についてよくある質問

マニフェスト伝票を交付する目的や運用方法、購入費用だけではなく、保管義務や伝票紛失時の対応についても把握しておきましょう。ここからはよくある質問に対する回答を紹介します。

マニフェスト伝票には保管義務がある？

マニフェスト伝票は交付もしくは受け取ってから5年間の保管義務があります。排出事業者、収集運搬業者、処分業者といった業者ごとに保管するマニフェスト伝票は異なります。例えば、中間処理業者が委託する場合の各業者の保管するマニフェスト伝票は次の通りです。（※）

事業者	保管する票
排出事業者	A票、B2票、D票、E票
収集運搬業者	C2票
処分受託者である中間処理業者	C1票
処分委託者である中間処理業者	A票、B2票、D票、E票
最終処分業者	C1票

※出典：公益社団法人全国産業廃棄物連合会「マニフェスト（マニフェストの流れ）」.https://www.zensanpairen.or.jp/disposal/manifest/flow/,(入手日付2023-02-13).

マニフェスト伝票を紛失したらどうする？

マニフェスト伝票を紛失してしまったら、再交付せずに紛失したマニフェスト伝票に応じた伝票で代用可能です。（※）

紛失したマニフェスト伝票	代用できるマニフェスト伝票
A票	収集運搬業者の控えであるB1票のコピー
B2票	B1票のコピー
D票	処分業者の控えであるC1票のコピー
E票	C1票のコピー

ただしB1票のコピー、C1票のコピーを使用する際は次の項目が記載されている必要があります。

● B1票のコピー：収集運搬業者の会社名、運搬担当者名、運搬終了日
● C1票のコピー（D票の代用とした場合）：処分業者の会社名・運搬担当者名・処分終了日
● C1票のコピー（E票の代用とした場合）：処分業者の会社名・運搬担当者名・処分終了日・最終処分を行った場所と所在地

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