マニフェストを紛失した場合は?正しい対応法と紛失対策

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産業廃棄物を扱う際、事務処理の効率化が可能な電子マニフェストを運用する排出事業者も増えてきました。一方、ITやパソコンの扱いが苦手などの理由で、紙マニフェストでやりとりしている排出事業者もまだ多くいます。

紙マニフェストで運用をしていると、伝票をうっかり紛失 してしまうことがあります。もし紛失してしまった場合、どのように対応するとよいのでしょうか。

本記事では、紙マニフェストを紛失してしまった際に取るべき正しい対応方法と、紛失を防ぐためのポイントを紹介します。紙マニフェストを運用している排出事業者の方や、処理業者の方は参考にしてみてください。

マニフェストを紛失した場合の対処法を解説

産業廃棄物の排出事業者が、収集運搬業者や処分業者に処理を委託する際には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が必須です。マニフェストは交付するだけでなく、5年間の保存義務があるため、きちんと保管しておかなければなりません。

しかし紙マニフェストは伝票の種類が多いだけでなく、複数の事業者間でやりとりすることもあるため、つい紛失してしまうこともあり得ます。ここでは伝票を紛失してしまった場合の対処法を解説します。紙マニフェストを運用していて、紛失のリスクがある方は参考にしてみてください。

原則として再発行はしない

「伝票を紛失したら再発行すればよい」と考える方もいるかもしれません。しかし、伝票の再交付は推奨できません。

廃棄物処理法第十二条の三に「事業者は産業廃棄物の“引渡しと同時に”産業廃棄物管理票を交付しなければならない」とされており、再発行は原則としてできないためです。

伝票を再発行してしまうと、一度の処理に2つのマニフェストが存在していることになり、虚偽の交付とみなされるリスクがあるため注意してください。また再発行後に見つかった伝票を破棄すると、保管義務違反に該当する恐れもあります。

参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」. (2023-12-02).

運搬や処分を委託した業者が保管しているマニフェストをコピーする

排出事業者が紙マニフェストを紛失した場合には、委託した収集運搬業者や処分業者が持っている伝票のコピーで代用することが可能です。紛失に気付いたら早めに処理業者に頼んで、当該書類のコピーを送ってもらいましょう。

コピーで代用できる伝票は、それぞれ以下のとおりです。

紛失してしまった伝票コピーで代用できる処理業者伝票
A票B1票(収集運搬業者の控え)
B2票B1票(収集運搬業者の控え)
D票C1票(処分業者の控え)
E票C1票(処分業者の控え)

受け取った伝票のコピーに、処理業者の会社名・運搬担当者名・処理日などの記載があることを確認しましょう。複写した伝票には分かりやすく印をつけ、紛失日時や経緯も記録しておくと安心です。

なお、収集運搬業者の場合、B1票はB2票で、C2票はC1票で代替できます。処分業者の場合はC1票をC2票で代用が可能です。


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マニフェストの紛失を防ぐための対策2つ

処理業者にコピーしてもらうことで原本の代わりとすることは可能ですが、処理に手間や時間がかかってしまいます。紙マニフェストで運用する場合は、うっかり紛失してしまわないよう管理体制をしっかり構築しておくことが大切です。

保管方法に決まりはなく、それぞれの企業に委ねられているため、各企業は紛失を防ぐための対策を講じた上で伝票を保管しておかなければなりません。ここでは紛失を防ぐための2つの対策方法を紹介します。

バインダーを使用する

大量の伝票を保管しておくのに便利なのが、バインダーです。とじる枚数によって厚さを選べる他、立てかけて整理できるタイプであれば、処理業者ごとの管理や月ごとの管理もしやすくなります。

例えば伝票を交付したら「すぐにA票をバインダーにファイリングする」「返却までに時間があるB2票・D票・E票は、返送されてきたタイミングでA票とまとめてファイリングする」などのルールを策定しておくと、伝票が他の書類に紛れてしまうリスクを減らせるでしょう。

また「処理済み」と「未処理」のタグを作っておくと、過去の委託案件と現在進行形の委託案件の区別も付きやすくなります。保存しておくべき伝票が多い場合は、バインダーを置く専用の棚を用意して「○○年○○月○○日まで保管」などと表記しておくと、担当者が変わったときにも混乱しないでしょう。

大切なのは保管のルールを決めたら、従業員同士で共有しておくことです。マニュアルを作成して定められたルールに従って伝票を管理すると、紛失のリスクも低くなります。

電子マニフェストに切り替える

紙マニフェストは交付する枚数が多く管理も煩雑で、保管の手間や場所も必要です。そのため現在では、電子マニフェストを導入する事業者も増えています。

電子マニフェストとは、電子化されたマニフェスト管理システムのことで、1998年に導入されました。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が管理・運営しており、2020年4月からは一部事業者(※)に対して導入が義務付けられました。

電子マニフェストの場合、紙の伝票が不要なため紛失リスクはありません。データは情報処理センターに保存されるため、保管場所や管理のルールを設定する必要もなくなります。収集運搬業者や処分業者も郵便で伝票を返送する手間が省けて、お互いの業務が効率化するでしょう。

他にも電子マニフェストには、人為的なミスが少なくなる、データの透明性が確保され法令の遵守を徹底できるなどのメリットもあります。また排出事業者が毎年一年間に交付したマニフェストの集計を、自治体へ報告する義務もありません。

紙の伝票の管理が煩雑になってきたら、電子マニフェストへの移行を検討するのがおすすめです。

※参考:環境省. 「特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者のみなさまへ」 , (2023-12-13).

マニフェスト紛失に関するよくある質問5つ

最後に紙マニフェストの紛失に関して、よく寄せられる5つの質問に回答しましょう。

マニフェストの保管期間は?

マニフェストには5年間の保存義務が法律で定められています。排出事業者はA票を交付日から5年間保存しておきましょう。またB2票、D票、E票は返送されてきた日から5年間保管しなければなりません。

参考:全国産業資源循環連合会.「マニフェストの管理運用」 , (2023-12-02).

マニフェストを紛失しやすいのはなぜ?

紙マニフェストは複写式の7枚つづりで、A票、B2票、D票、E票をそれぞれ委託先の業者に異なるタイミングで送り返してもらう必要があるため、管理が煩雑になりやすい傾向があります。

そのため「郵送してもらったはずなのに1枚だけ見当たらない」「引き継ぎをするうちにどこにあるか分からなくなった」などの事態が起こることも珍しくありません。紙マニフェストを運用する場合は、紛失リスクへの対応も含めて扱う環境を整えておきましょう。

マニフェストを紛失したら行政への報告は必要?

マニフェストを紛失してしまった場合に、行政への報告は特に必要ありません。前述したように処理業者が保管している書類をコピーして対応しましょう。対応が遅れた場合には、保管義務違反となってしまう恐れがあるため、早めの対応が必要です。

マニフェストのE票が届かない場合はどうすればよい?

マニフェストのE票とは、産業廃棄物の最終処分が終了したことを報告するために、処分業者が排出事業者に返送する伝票です。排出事業者は返送されてきたE票により排出した産業廃棄物の最終処分が完了したことを確認できます。

E票は交付日から180日以内に返送してもらう必要があります。180日以内に届かない場合、排出事業者は廃棄物処理法施行規則第八条の二十九に基づき、処分業者に状況を確認した上で必要な措置を講じ、30日以内に「措置内容等報告書」を都道府県知事に提出しなければなりません。

参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」. (2023-12-02).

マニフェストを紛失した場合の罰則は?

紙マニフェストの紛失を認識していながら放置した場合、事業者が保管義務違反に問われる可能性があります。違反に問われた場合、法律(廃棄物処理法第二十七条の二)により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

2018年以前、マニフェストに関する罰則は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金でしたが、現在ではより厳罰化されているため、早めに対処して違反とみなされないよう注意してください。

参考:e-Gov法令検索. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」. (2023-12-02).

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